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卒業生レポート河内潤一さん(柔道整復学科2006年卒業、鍼灸学科2007年卒業)

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好きなことを仕事に!と治療家を目指す

   

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私が日本健康医療専門学校(以下、ニッケン)に入学したのは、24歳の時でした。いわゆる、脱サラ組ですね。

 それ以前は、医療施設などにリネン(寝具やマットレス、病衣など)を届ける会社で営業職をやっていました。それなりに仕事に慣れてくると、特に出世がしたいなどという目標もなく、淡々と過ごす日々。

 このままではいけないな...と、好きなことを仕事にしたいと思うようになりました。

 そこで、できれば社会に役立つ、人をサポートする仕事がしたいと、最初は医療の道を考えました。しかし、年齢などを考えるとあまり現実的ではありません。

 その時、かつてサッカー少年だった自分がよくお世話になっていた整骨院のことを思い出したのです。中学校からサッカーを始めて、高校1年生の時練習中にケガをしました。粉砕骨折だったので、1年間まともに走ることができませんでした。

 自分が好きなスポーツができなくなった時に、助けてくれたのが整骨院の先生。私から見たらお医者さん同様の存在です。あんな風に、ケガや不調を治すことができたらいいなと思ったのです。

 私は、そのケガをきっかけに、一時サッカーから離れて帰宅部に。友だちと遊ぶのが楽しくなってしまい、大学受験も失敗。しばらく不遇の時代が続きました。当時はそれなりに楽しくやっていたつもりでしたが、今から思うと人生の目標を見失っていたような時期でもありました。

 就職して、正社員として真面目に仕事をしていても、気持ちのうえではその延長にあったような気がします。

 そこで「人を治すことを自分の仕事にしよう!」と目標を掲げたところから、私の人生が大きく動き始めたのです。

  

  

プロになって知った基礎医学の大切さ

    

 2003年、ニッケンの柔道整復学科に入学。クラスメイトは、高校を卒業したばかりの18歳から、私と同じような社会人経験者など、年齢の幅もあり、それがかえって新鮮に感じました。

 自分より年下の人たちと机を並べて勉強するのも面白かったし、さまざまな人生経験を積んだ同期生と話をするのも大いに刺激になりました。

 また、すばらしい先生方にも恵まれたと思います。

 ニッケンのカリキュラムでは、基礎医学として解剖学や生理学が学べます。

 これは基礎とはいえ、高校までの授業で学んでいない分野なので、最初はけっこうむずかしい。しかし、先生方が分かりやすく解説してくれたおかげで、すっと理解することができました。

 当時はただ純粋に面白いと思って勉強していましたが、卒業後、プロとして仕事をしていると、これらの学問がとても役立っていると感じます。

 人間の身体のしくみがどうなっているのか、どのようにつながって運動しているのか。当たり前といえば当たり前ですが、その部分をきっちり理解していると、症状の見立てや治療方針に差がでてくる。当然、治療効果にも影響が出てくるのです。

 現在、私の院で仕事をしているスタッフには、基礎医学の重要性を必ず伝えて、学ばせています。これは、ニッケンで学び継承した伝統といえるでしょう。

     

 柔整の2年次には、鍼灸科にも入学し、並行して受講していました。

 柔整が体育会系とすると、鍼灸は学究肌のユニークな同期生が多く、私の世界観が広がりました。彼らとは現在もいいつきあいをしています。

 柔整と鍼灸では、人体や治療に対する考え方はちがいます。でも、山に登るためのルートがちがう...といった感じで、両方学ぶことに意味があると思います。プロとしては、治療における武器を増やしておくことは重要ではないでしょうか。

     

   

治療現場で得られた数々の学び

     

 ニッケンと同様に、アルバイトとして勤務していた整骨院でも学ぶことは多かったです。

 私は医療を学ぶように柔整を究めたいと思っていたので、治療現場でのギャップにはショックを受けました。授業で学んだ知識を使ってスポーツ外傷などケガの患者さんばかりを治すものと思っていたのですが、その整骨院では生活習慣による不調(首・肩・腰の痛みなど)の治療(マッサージ)がほとんどだったのです。患者さんもご高齢の方が多く、どのように接していいのか分からずとても苦労しました。

 学校で学ぶ柔整や鍼灸と、治療現場での仕事はちがう...今にして思えば当然のことなのですが、これは体験して初めて実感できることでした。

    

 ニッケンでの講義はとにかく面白かったので、無理なく勉強を続けていきました。国家試験もゴールというよりは、通過点だと思って勉強していたせいかスムーズに合格することができました。

 卒業後の進路は、開業前に少なくとも10年は修行期間が必要と考えていました。

 医者の場合、大学で6年間勉強し、国家試験に合格したら研修医として2年間、その後3~5年の後期研修を受けて、やっと特定の診療科に配属されます。

 柔整と鍼灸、それぞれの科で3年間勉強しただけでは、とても開業する自信はありませんでした。   

 そこで、在学時から働いていた整骨院で2年間仕事を続けました。その後、リハビリもしっかり学び、さらには高齢の患者さんに対する苦手意識を克服したいと考え、介護施設で機能訓練指導員として4年間働きました。

 その施設でも多くのことを経験できました。高齢の患者さんに日々寄り添い、彼らの心身の不調やケガなどに向き合いました。その結果、得られたことは「マニュアルなどない」ということ。若い患者さんは社会性もあるので、整骨院や治療家に合わせてくれますが、高齢者となるとそれは難しい。一人ひとり個性があり、性格や認知機能もそれぞれなので、こちらが合わせるしかないのです。その経験から、この仕事にとって人と向き合うことがいかに大切かも学ぶことができました。

 また、介護施設では終末期医療の現実も目の当たりにしました。高齢者のケガや不調の治療を怠った末路を知り、治療の重要性、さらには予防医療の大切さも実感しました。

   

  

日々の研鑽によって理想を現実に

        

 いくつかの施設で治療家としての経験、学びを積んだ頃、祖父母に介護が必要になり、実家に戻り開業することになりました。キャリア的にも家族的にも、ちょうどいいタイミングでした。

 2017年、群馬県太田市に「かわうちはり灸整骨院」をオープンしました。

 私が提案した病院らしい建築デザインは母や妻に却下され、あたたかみのあるおしゃれな外観の治療院としてスタートしました。

 半年間は一人で治療に専念していましたが限界を感じ、ニッケンの同期の友人にサポートしてもらいました。ありがたいことに患者さんは順調に増えていき、半年ごとにスタッフを採用し、現在は7名を雇用しています。

     

 当院は、私にとって思い入れのある外傷治療に力を入れています。部活動や趣味などのスポーツ外傷から、ケガ、故障などの患者さんが多く来院されています。首や肩などの慢性的な痛み、自律神経の不調などは鍼灸治療を行なっています。コロナ禍では、メンタル的な不調を訴える患者さんも増えてきたため、個室での治療もしています。その他、美容鍼や足の外来、パーソナルトレーニングなど、患者さんのニーズに応える形で、施術メニューも増やしてきました。

      

 整骨院の運営は、コロナ禍にあっても比較的順調にいっています。

 一番苦労しているのは、人材教育。若い世代とは価値観もちがうので、私のやり方を押し付けたり、昔のように「見て覚えろ」とは言えません。そこで、研修プログラムを自ら開発し、最初の半年間はそれに沿って学んでもらっています。

 若いスタッフによく言うのは「人に興味をもて」ということ。

 この仕事は、人対人が基本です。患者さんをよく見て、話を聞いて、症状や気持ちを理解することが大切。人に興味がなかったら、その一連のプロセスを行なうこと自体が難しいでしょう。

 健康医療の業界は変化のスピードが早く、理論や技術は日進月歩です。

 私は今も新しく発表された論文は必ず読みますし、新しい理論や技術をとりいれるべく勉強もしています。これだけ変化のスピードが早いと、将来的には治療院も治療家も二極化することが予想されます。常にモチベーションを維持しながら、知識と技術の習得に励む人は成長し、成功することができるでしょう。目標を掲げて、人生を自分の力で切り拓いていきたい人にはおすすめの仕事です。ぜひ、私たちの後に続いてください。

   

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PROFILE

河内潤一 Junichi Kawauchi

1978年 群馬県生まれ。柔道整復師、鍼灸師。かわうちはり灸整骨院院長

営業職として医療施設にリネンを提供する企業に勤務。

2003年、日本健康医療専門学校・柔道整復学科に入学。翌年、同校鍼灸学科に入学。

2006年柔道整復師の国家資格を取得。2007年鍼灸師の国家資格を取得。

ニッケン卒業後は、整骨院、介護施設で働きながら、研鑽を積む。

2017年、群馬県太田市に「かわうちはり灸整骨院」を開業。

慰安ではなく、ケガの治療にこだわり、筋肉、関節の軟部組織、骨、東洋医学の専門家である柔道整復師、鍼灸師として地域に根ざした医療を提供している。

「かわうちはり灸整骨院」公式サイト

https://ota-seikotsuin.com/

   

「かわうちはり灸整骨院」ご紹介はこちら

https://lab.niken.jp/696/