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卒業生Voice
私の叔母があんま・マッサージ師をしているということもあり、私にとって「人の身体に関わり・治す」というこの世界は比較的馴染みがありました。
小学校3年生から中学・高校は、野球にすべてを捧げていました。勉強にはあまり興味がなく、野球のことしか考えていなかった。ケガも多かったので、学校の近所にある接骨院にはいつもお世話になっていました。人生経験の浅い野球少年としては、ちょっとした骨折や脱臼でもショックを受けて、落ち込んでしまいます。(もう野球はできないかもしれない...)と悩んで通っているうちに、ちゃんと元通りに治してもらえる。接骨院の治療は、まるで魔法のようだと思いました。そのうちに、自分もこんな風にケガをした人を治して、元気にしてあげたいと思うようになったのです。
高校3年生の夏には、その接骨院に就職することが決まりました。そしてアシスタントとして働きながら、日本健康医療専門学校(以下ニッケン)の鍼灸学科で学ぶことに。
私はその接骨院に住み込みで働いていて、朝仕事をしたら、昼にニッケンへ。夕方には接骨院に戻って仕事をしてました。まあ、きつかったですね。国家資格がなければ仕事ができないことはわかっていたので、受験は必須だったわけですが、毎日が睡魔との戦いでした。
接骨院では師匠である先生の下、徐々に経験を積むことができました。しかし、肝心の学校の授業には全然ついていけなかった。
3年生の夏、ついにニッケンの先生が「このままでは国家試験合格は無理だから、仕事を休んで勉強に集中するように」と、接骨院の先生に直接電話をしてくださいました。そこから、受験勉強の追い込みがスタート。親身になった先生方から熱いご指導をいただきました。
実際、勉強できる時間と環境が整うと、集中力もアップ。どんどんテキストが理解できるようになり、勉強自体がすごく面白くなりました。これは野球漬けの学校生活では得られなかった経験です。
無事に国家試験も合格し、翌年度からは柔道整復師学科に入学しました。
鍼灸学科で身体の基本的なことは習得し、勉強するコツもわかってきたので、成績は上位にランクされるほどに。この頃には、仕事との両立も楽にこなせるようになりました。
また、私はクラスメートにも恵まれていたと思います。柔整から鍼灸に編入した同級生たちに、わからないところを教えてもらったりサポートしてもらったり。かなり助けてもらいました。ニッケンじゃなかったら、国家試験合格も卒業もできなかったかもしれない...と、今になって思いますね。
ニッケンで鍼灸学科、柔道整復師学科で学ぶ間に、いくつかの治療院で経験を重ねました。当初から開業の意志は強く、また、スポーツ外傷に興味があったので、できるだけ多くの症例を学べる治療院を選んで経験を蓄積しました。
高校を卒業して10年の間に、鍼灸師と柔道整復師の資格を取得。3つの治療院でキャリアを積み、2016年に地元の埼玉県春日部市に「とみざわ鍼灸・接骨院」をオープンしました。夢に描いた通り、スポーツ外傷などに特化した治療院です。骨折・脱臼・捻挫・打撲などを手技や包帯・ギプスによる固定、テーピングなどを中心に治療していきます。
開業して2年目、成長痛が治りづらい子どもが増えていることが気になって、勉強会などで情報を収集したところ「羽田野式ハイボルト」という療法に出会いました。体幹の筋肉や神経、そして深部筋肉という二つの層に同時に電気を流すことで根本的に治すという療法です。
昔の子どもと比べて、今の子どもたちは成長痛やケガなどの自己治癒力が低いような気がします。そこで、骨盤まわりの筋肉を鍛えて治りやすくするなど、試行錯誤の中で発見をしながら、鍼灸学科で学んだ知識もいかして治療を行っています。
それらをきっかけに、インナーマッスルの重要性を認識。当院では、痛みのメカニズムを解明し、それを改善するための治療の流れを確立しました。従来の鍼灸やスポーツ外傷治療に加えて、羽田野式ハイボルト療法、インナーマッスルを鍛える「楽トレ」、AKA(関節運動学的アプローチ)による矯正などのプログラムによって、痛みのスパイラルを断ち、身体の根本的な改善を目指します。
現在では、自律神経と痛みの関係についても勉強していて、治療に取り入れています。人間の身体はとても奥深い世界。まだまだ勉強が必要です。できるだけ勉強会や講習会に足を運び、最新の情報を入手し、学びを深めたいと思っています。
開業して4年半が経ち、現在は2人のスタッフと共に診療を行っています。
母校の野球部員やサッカー部の子どもたち、またママさんバレーの方々など、患者さんはスポーツ関係が多いです。特に宣伝をしているわけではありませんが、通院して治った患者さんの推薦・紹介も少なくありません。スポーツ関係の人たちが多いせいか、院内は明るくてのびのびした雰囲気です。
野球部の子たちは、私にとって後輩ということもあり、練習を見に行くこともあります。かつての自分を見るようで、できるだけ早く治してあげたいし、ケガで欠場している間の不安もなくしてあげたい。そしてリハビリやトレーニングによって、グラウンドに戻った時にはケガの前よりもパフォーマンスを上げることも意識しています。
サッカーも、小学生の頃から診ている子たちが成長して、大宮アルディージャや柏レイソルのユースで活躍しています。
子どもの頃から診ている子たちが、ケガや不調を克服して、心身共に成長していくのを見るのは最高にうれしいですね。この仕事のやりがいを感じるのは、まさにそんな時です。
また、私と同じようにこの業界に興味をもって、ニッケンに入学する子も毎年数人います。それ自体も、私にとってはとても喜ばしいことです。
ニッケンには、熱いハートとたしかな技術・知識をもった先生たちが揃っているので、真面目に授業に出ていれば学習面の問題はないと思います。
ただ、授業で学んだことを記憶に定着させるには実践の場があるとより有利です。アルバイトをするならば、ぜひ接骨院や整骨院など自分が目指している分野の現場を選んでください。受付やアシスタントでも、治療院の雰囲気や患者さんの様子を知ることができるでしょう。座学で学んだことを、治療院で確認し、先生の治療法を見て学ぶなど、理解もより深まると思います。
また、人を治す仕事は、技術や知識だけでなくコミュニケーションも大切です。若いうちから治療現場で多くの患者さんと接していると、就職してからも自信をもって仕事ができるのではないでしょうか。
卒業して9年が経ちますが、今でも治療の際、ニッケンの授業で学んだこと、先生の言葉などを思い出すことは少なくありません。仕事と勉強の両立は厳しかったけれど、十分にそれだけの価値があったと思っています。
PROFILE
冨澤和貴 Kazuki Tomizawa
1986年、埼玉県春日部市生まれ。鍼灸師・柔道整復師。とみざわ鍼灸・接骨院院長。
高校卒業後、接骨院に就職。日本健康医療専門学校鍼灸学科に入学し、学業と仕事を両立しながら、国家資格を取得。2009年柔道整復学科に入学し、国家資格取得。
いくつかの治療院で実績を重ねて、2016年埼玉県春日部市に「とみざわ鍼灸・接骨院」を開院。スポーツ外傷の治療に定評があり、アスリートやスポーツ愛好者の患者さんが多く通院している。
■とみざわ鍼灸・接骨院公式サイト
http://tomizawa-sk.com/index.html
■とみざわ鍼灸・接骨院のご紹介はこちら