美容
皆さま、こんにちは!日中美容研究家の濱田文恵です。毎年この時期になると、女性たちの肌悩みに「シミ」が挙がってきます。シミ対策の一環として日焼け止めを隅々まで塗り、紫外線をカットするよう努めている方も多いでしょう。もちろん日焼け止めでシミ対策をすることはとても大切です。でも、うっかり日焼け止めを塗り忘れた日でも、肌自らがシミ対策をしてくれる、そんな美白肌になれたら素敵だと思いませんか?今回は私が専門とする中医美容法を合わせて、正しいシミ対策を伝授したいと思います。
1.おさらい!紫外線によるシミができるメカニズム
日焼け止めいらずの美白肌を目指すためには、シミができるまでのメカニズムを知ることが必要不可欠。まずはシミについておさらいをしてみましょう!
1-1【基本知識】メラニン色素について
私たちの肌は、紫外線を浴びると、肌の内側にある細胞が紫外線によるダメージを受けないように、肌の表皮に存在するメラノサイトへ「細胞を守るためのメラニン色素を作れ」という指示を出します。
指示を受けとったメラノサイトでは、メラニン色素が作られ表皮に存在する各細胞たちに届けられます。細胞に届けられたメラニン色素は細胞内に入り、遺伝子情報を記憶している細胞の核に対し、まるで日傘のように紫外線のダメージから守ってくれます。
1-2ターンオーバーの乱れでシミができる
なぜシミができるのかというと、過剰な紫外線を浴びてしまった場合、メラノサイトは細胞を守りたいがために、本来作るべき量を超えて、大量のメラニン色素を作りはじめます。
本来、メラニン色素を含んだ細胞は成長と共に、表皮の基底層から、有棘層、顆粒層、角質層まで押し上げられ、角質層で外のダメージから肌内部を守る役割を担います。最後は、肌のアカとなって体外に排出されていくのですが、これを「ターンオーバー」と言って、約28日間周期で行われています。
しかし、過剰な紫外線浴びた場合、多くの細胞を一刻も早く角質層に届けようとして、ターンオーバーを早めてしまうのです。
ターンオーバーと共に細胞自体の成長も早まってしまい、一つ一つの細胞が未熟な状態に......。さて、10個の未熟な細胞に対して100個のメラニン色素が作られてしまえば、どうでしょう?細胞内にメラニン色素が入りきらず、細胞外に漏れてしまうのです。その漏れたメラニン色素が積み重なり、私たちの目に「シミ」となって現れるのです。これが、紫外線によるシミができるメカニズムです。
2.日焼け止めの限界と心掛けるべき中医美容発の美白ケアとは
シミを作りたくないのなら、まずは日々の中で過剰な紫外線を防ぐことです。「それなら、私は日焼け止めを塗っているから大丈夫」と思う方もいるでしょう。でも、日焼け止めを塗るだけでは限界があるのです。
2-1日焼け止めの限界とは?
皆さまは、正しく日焼け止めを使えていると思いますか?例えば、ひと夏に日焼け止めを何本使うでしょうか?私が、お客様や生徒に質問をすると、大抵の方が、「1シーズンで1本くらいかな」と答えます。でもメーカーにもよりますが、月に1本使い切るくらいのペースが適正だと推奨されています。シミ対策を考えて、紫外線量が強くなる3月から9月頃まで日焼け止めを塗るとしたら、本来は約7本の日焼け止めを使い切っていなければ、充分な美白ケアができたとは言えないでしょう。また、朝出かける前に日焼け止めを塗って、お昼ご飯を食べる前後に塗り直しをしたら、その日の日焼け止めは終わりという方も多いのではないでしょうか。今では、高機能な日焼け止めが誕生していますが、気温が高い季節は、汗や肌と肌が擦れたりして、日焼け止めも落ちている場合があります。このように、日焼け止めのみに依存した美白ケアでは限界があるのです。
2-2心掛けるべき中医美容発の美白ケア
私が提唱する中医美容法は、外側からの美白ケアだけでなく、シミができる根本的な原因に着目し、カラダの内側からも美白ケアをすることで、肌本来の底力を上げ、内外ともに透明感のある美白肌を目指しています。そこで、紫外線を浴びてしまっても、肌自らが過剰に作られたメラニン色素を排出できる肌、つまりターンオーバーの整った肌を育む美白ケアを伝授しますね。
3.保湿対策と肝養生でターンオーバーを整える
整ったターンオーバーで健やかな細胞を育むためには、充分な栄養と潤った表皮環境が大切です。
3-1 肝養生で血液と酸素をたっぷり届ける
細そうな体型よりも、筋肉がムキムキな体型のほうが、重い荷物を持てそうだと思いませんか?過剰な紫外線を浴びることで出来てしまったメラニン色素を体外に排出するためには、ムキムキな体型をイメージさせる細胞作りを心掛けたいものです。そこで、健やかな細胞作りに欠かせないのが、栄養たっぷりの血液と酸素。
中医美容でいうと、体を構成する大切な要素である「血と気」を指します。血には"水穀の精微"という、いわゆる栄養が含まれ、肝に蓄えられています。肝は血を蓄えるだけでなく、カラダのどの部分にどれだけの血を届けるか決め、さらに酸素である気をスムーズに巡らしながら、血と共に細胞に分配しています。肝の働きが悪くなれば、血と気が細胞に届かなくなるので、ターンオーバーが乱れ、未熟な細胞が作られてしまい、メラニン色素の排出に影響が出てしまうのです。夏場の肝養生としては、暑くても冷たいアイスやビールは肝に負担をかけるので出来るだけ控え、涼性の食べ物で体の熱を取り去るようにしましょう。
[例]冬瓜、茄子、トマト、スイカ、バナナ、梨、緑茶など
また、夏場は暑く寝苦しい為に夜更かしがちですが、11時前にはベッドに入るようにしましょう。肝は日中に働き詰めなので、寝ている間にしか休むことができません。
ストレスを放置しておくのもNG。ストレスを感じたら軽いストレッチやヨガなどを取り入れ、体内で停滞した気を流すようにしましょう。肝が元気であれば、肌も自ら健やかな細胞を作れます。ぜひ、美白ケアの一環として肝養生を取り入れてくださいね。
3-2 潤った表皮環境を作るための保湿ケア
紫外線を浴びても周期を乱さずにターンオーバーを行うためには、表皮環境の乾燥に注意が必要です。例えば、川がスムーズに流れるためには、ある程度の水量が必要ですよね。カラカラに乾いているところでは、流れはおきません。ターンオーバーが行われている表皮も同じこと。表皮環境が"ぷるぷる"に潤っていれば、肝養生で育まれた健やかな細胞はメラニン色素を取りこぼすことなく、表皮の基底層から、最後は肌のアカとなって体外へ排出することができます。
夏場はベタつくのが嫌で、簡単にスキンケアを終わらせがちですが、夏だからこそシミ対策のために、美白を考えた保湿ケアを徹底してほしいところ。おすすめは、使う化粧品の数を増やすのではなく、肌の水分を保つ力を高めてくれるヒアルロン酸やセラミドが配合された化粧水を、肌が "もちっ"とするまで馴染ませてあげることです。(最低5回以上)たったこれだけで肌の潤い力は変わってきて、良い表皮環境を作ることができますよ。
いかがでしたか?シミ対策は肌のターンオーバーを整えるための保湿ケア+肝養生が大切。ぜひ、美白肌を育むための参考にされてみてくださいね。
■著者プロフィール
日中美容研究家 濱田文恵
自身のニキビ肌をセルフ美容で克服した経緯を経て"キレイ" は自分でも作れることを啓蒙するため一般社団法人日本セルフ美容協会®を設立。毎日のセルフ美容に自身のルーツである東洋と西洋を組み合わせた独自の美養法を提唱する。著書『運命をこっそり変える』セブン&アイ出版。
国際中医薬膳師 / 医薬品登録販売者 /日本エステティック協会認定エステシャン / 日本毛髪科学協会認定毛髪診断士