柔道整復・トレーナー
高校2年生ぐらいになると、真剣に将来の進路について考えはじめる人は多いのではないでしょうか。すでに進路を決めている人もいる一方で、「進路が決まらない」「やりたいことが見つからない」と悩んでいる人も多いかもしれません。
今回は、まだ将来の進路が決まっていない高校生に、高校卒業後の選択肢や進路を見つけるためのポイント、進路を決めるためにすべきことについてお伝えします。
将来の進路を決めるうえでまず知っておくべきことは、高校卒業後にどういった選択肢があるか、ほかの人がどういった進路を進んでいるかです。
文部科学省が2020年12月25日に公開した「令和2年度学校基本調査(確定値)」によると、高校卒業後の状況は、大学進学(54.4%)、短大進学(4.2%)、専門学校進学(24.0%)、高等専門学校4年(0.9%)で合計83.5%です。
この結果から、高校卒業者の83.5%が高等教育機関へ進学、残りの16.5%が進学以外の道に進んでいることがわかります。
高校2年もしくは3年の時点でまだ進路が決まっていない場合、やりたいことがなくてもとにかくお金を稼ぎたければ、就職やアルバイトといった道も考えられるでしょう。しかし現状では、大学や専門学校卒に比べ高卒でできる仕事はどうしても限られます。一定の専門技術がなければ稼げる金額もそれほど多くはありません。
そのため、将来の道への選択肢を広げるといった意味では、まずは進学を視野に入れるのがよいといえます。進学先のおおまかな特徴は次のとおりです。
大学は、高校までに学んだなかで興味のある学問をさらに深く究め、より多くの知識を習得し経験をつむための場所です。多くの大学にはさまざまな学部学科があり、多様な考え方を持った学生が集まります。そのため、広い視野でものごとを考える機会が増え、人間的な成長もできるでしょう。
進路が決まっていないため、どの大学、どの学部にすればよいか決められない場合は、リベラルアーツ教育を実践している大学がおすすめです。
リベラルアーツとは、もともとギリシャ・ローマ時代の「自由7科」(文法、修辞、論理(弁証)、算術、幾何、天文、音楽)に起源を持つ言葉です。ある特定の学問だけを勉強するのではなく、さまざまな学問領域をみずから選択して学び、総合力を持った人材を育てる教育として、リベラルアーツ教育は大きな注目を浴びています。さまざまな分野の知識を習得していくなかで、自分に合った、得意分野を見つけることにもつながるため、選択肢のひとつに考えてみるとよいでしょう。
また、多種類の学部学科を持つ大学のほか、美術、医療、体育など特定の学問に特化した大学もあります。将来は医療の道に進みたい、スポーツの道へ進みたいなど目的がすでに決まっている場合は、こうした大学のなかから選択するとよいでしょう。
短期大学(以降、短大)は2~3年制となっており、大学の4~6年制に比べ短期間に集中して専門的な知識を得るための学校です。
保育、家政、社会、人文、保健などの専門分野に特化した学校が多く、大学に比べ就職に直接結びつく知識の習得ができます。そのため、短大で学べる分野に進みたいと考えている人にとっては、大学進学よりも短期間で、社会に出るための知識や資格を取得できるメリットがあるといえるでしょう。専門分野を学べるため、就職率が高いのもメリットのひとつです。
また、学校によっては4年制大学に編入できる場合もあり、在学中により深く学びたいと感じた場合には、別の進路を選択することも可能です。
専門学校とは、就職するうえで必要な能力を育成する専修学校のなかで、高等教育機関として専門課程を持つ学校です。2年制がほとんどですが、分野によっては3~4年制の学校もあります。大学や短大のように学科試験が設けられている専門学校もありますが、推薦入学を実施しているところや、学力だけで入学を判断するのではなく個性や学ぶ意欲、適性を評価するAO入試を実施している専門学校もあります。
就職に直接結びつく知識の習得ができる短大よりもさらに、専門学校はその要素がより強くなります。学べる分野も幅広く、保育、スポーツ、テクノロジー、音楽、映像、ビジネス、ファッション、デザイン、医療・福祉、動物など多種多様な専門学校があります。
メリットは、就職のための実践的な授業が多いことで、資格取得のためのノウハウもしっかりと学べます。
大学、短大、専門学校、それぞれの特徴を知っても、簡単には自分の進路を決められないかもしれません。そこで、進路を見つけるにはどういった観点で考えればよいかを紹介します。
自分のやりたいこと、興味のあるものが思いつかない人でも、スポーツが好き、人の役に立つのが好き、英語に興味があるなど、ほんの少しでも好きなものはあるのではないでしょうか。しかし問題は、スポーツは好きだがプロになれるほどの技術はない、英語に興味があるが流暢ではないなど、職業にするレベルではないという点です。
ここでポイントなのは、もっと広い視野で考えることです。例えば、スポーツでプロ選手になれなくても、スポーツ選手を裏で支える仕事、スポーツを伝える仕事ならできるかもしれません。翻訳や通訳といった英語のプロフェッショナルでなければできない仕事以外にも、英語を使ったビジネスはほかにもたくさんあります。
やりたいことや、興味のあるものそのものだけではなく、それにかかわる仕事、だれかの役に立てる仕事と考えれば、選択肢は広がるでしょう。
資格や技術を身につけられる仕事といった観点から考えるのもおすすめです。若いうちにしっかりと勉強し、資格や技術を身につければ、将来的に、さらにできることの選択肢も広がります。
高校時代に、一生を左右するかもしれない将来の進路を決断するのは非常に困難です。小さいころからの夢があった場合でも、いざ現実と向き合ってみたらなかなか簡単にはいかないこともあるでしょう。そこで、次のような手順で自分の将来設計をしてみましょう。
1.自分の興味を深堀してみる
まずは、何に興味を持っているのか、何が好きなのか、やりたいことはあるのかなど自問自答で深堀していきます。むかしは好きだったが忘れてしまったものなども思い出し、すべて書き出してみましょう。
2.親、友だちなどまわりの人に自分の適性を聞いてみる
自分のことは自分が一番わかっていると思いがちですが、周囲に聞いてみると自分では気づかなかった意外な一面を知る場合があります。自分は何が得意だと思うかを聞いてみるとよいでしょう。
3.さまざまな職業について徹底的に調べてみる
自分の興味がある仕事、やりたい仕事はもちろん、それ以外の職業についても徹底的に調べてみます。知らなかったけどじつは自分に向いているのでは、といった職業を見つけだせる場合もあります。まず、自分の好きな仕事を調べ、次に関連する仕事を調べるといったかたちで調べていくのがおすすめです。
4.勉強する
さまざまな職業について徹底的に調べていくと、その職業に就くために何が必要なのか、何をすべきなのかが明確になります。そのうえで、その仕事をやってみたいと思えたら、自分に足りない部分を補うための勉強をしましょう。
例えば、進学、就職して自分の思っていたものと違った、やりたいことではなかったと気づいたとします。こうした状況になった場合、あらためて大学に入りなおしたり、仕事を変えることもできます。しかし、別の道を探るにしても、自分の適性を見極めるにしても、高校時代の蓄積が糧(かて)となり、選択肢が広くなることは少なくありません。
若いうちはやり直しが何度もできますが、もともとの選択肢が狭ければやり直せるチャンスも少なくなってしまうでしょう。そうした意味でも、進路が決まらない時期は、将来を見すえて、まずは目の前の勉強に集中することが、結果として将来につながっていくのです。