美容
エステティシャンは美容に関して施術するプロの職業です。近年は男性のためのエステサロンもできるほど、世間の「美」に対するニーズは高く、その仕事を専門家として行うエステティシャンの人気と需要も高まっています。今回は一般的な女性向けのエステを行うエステティシャンについて、その仕事内容を説明します。
それでは、エステティシャンについて説明していきます。
まず、エステティックの定義を見てみましょう。
日本エステティック協会のホームページで確認すると、総務省が定めた日本標準産業分類の定義を紹介しています。それによると「エステティックは手技又は化粧品・機器等を用いて、人の皮膚を美化し、体型を整える等の指導又は施術を行う事業所をいう」とされています。さらに一般社団法人日本エステティック振興協議会は「エステティックとは、一人ひとりの異なる肌、身体、心の特徴や状態を踏まえながら、手技、化粧品、栄養補助食品および、機器、用具、等を用いて、人の心に満足と心地よさと安らぎを与えるとともに、肌や身体を健康的で美しい状態に保持、保護する行為をいう」として、外的な施術だけではなく、心理的な作用を重視していることを示しています。こうした定義を踏まえてエステティシャンという職業を見てみましょう。
先に示したとおり、痩身(そうしん)や美白肌、脱毛など、美容に関する施術を行う職業がエステティシャンです。近年は、これらの既存の技術に加え、鍼(はり)や灸(きゅう)を使ったエステを行う「美容鍼灸師」のような分野も生まれています。
基本的には個人の顧客に、美しくなるための施術をし、日常生活上でのアドバイスのほか、美しさを維持するための心構えや生活習慣、モチベーションなどの支援や指導をする立場にあります。つまりエステティシャンは身体の内外から「美」のお手伝いをするスペシャリストといえるでしょう。
一般的なエステティシャンになるための流れは、高校卒業後に知識や技術が得られる専門学校で学び、エステサロン等にエステティシャンとして就職し、そこで日々の仕事をしながら技術と経験を積んでいくことになります。
また、エステティシャンになるために必要な国家資格はありませんが、エステサロンへの就職や個人でサロンの開業を考えている方は、権威のある資格を取得しておくことが後々有利でしょう。民間が認定機関となった、AEA認定エステティシャン、AJESTHE認定エステティシャン、CIDESCOディプロマ等が代表的な資格です。
このほか、幅広く応用性のある知識や技術を習得するために、前述の「美容鍼灸師」になるための鍼灸師の資格があれば活躍の幅が広がるでしょう。
→鍼灸師の資格については以下の記事もご覧ください。
具体的にエステティシャンが持っておきたい知識や技術、また求められる資質については以下となります。
それでは仕事内容について、もう少し詳しく見ていきましょう。
エステティシャンが1日のうちに、どのような仕事をこなしているのかを確認してみましょう。
次に、上記で確認したような仕事内容をどのようなスケジュールでこなしているのか、一般的なエステサロンでの一日の流れを見ていきましょう。
多くのエステサロンの開店時間は10時~11時です。そのため、開店1時間程度前の9時~10時には出社し、施術室や受付の清掃、施術をするための機材や備品のチェックなどの開店準備を行います。
開店準備を終えたら出社しているスタッフ全員でのミーティングを行うのが一般的です。昨日からの申し送り事項や本日の予約状況、売り上げ目標などの情報を共有し、お客様を迎える体制を整えます。
お昼の休憩を挟み閉店までの間は、予約されているお客様への対応をします。エステティシャンは技術職ですが、お客様と直接触れ合うサービス職でもあるため、お客様に合わせたコミュニケーション能力が要求される職業でもあります。お客様をリラックスさせつつ、適切に要望を把握するためのカウンセリングを行う必要があります。その後、ボディケアやフェイシャルなどの施術を行っていきます。
19時~20時が一般的な閉店時間です。予約されたお客様の施術をすべて終えたら、施術室や受付の清掃、一日の売り上げの確認をします。そして翌日の予約の確認と準備などを行い、最後にミーティングをします。
また、新たな機材や設備を導入したときには閉店後に扱い方の研修を行う場合もあります。スタッフ同士での勉強会も閉店後に行うのが一般的です。
これまでご紹介してきたとおり、エステティシャンの活動の場所はエステサロンが中心です。しかしさまざまなニーズも生まれています。例えば結婚式を控えているお客さまに対しては、サロンで総合的な施術を行ったり、自宅へ出向いて施術をすることもあります。また外出ができないお客様に対しては、ご自宅へ伺いエステを行う訪問エステを実施することもあります。お客様のニーズが増えるにあわせて、そのサービス提供形態は多様化してきています。
エステサロンに務め、専属勤務をするほか、フリーランスとしていろいろなサロンを勤務先とするケースもあります。また、エステ技術を磨き、経験を積むなかで、エステティシャンとして指名されて施術を行うようになれば、自分のエステサロンを持ち企業経営者になることもできます。
エステティシャンとして目標の施術数や顧客数、サービス提供金額などが設定されることもあります。しかし、目標がないと漫然とした勤務や施術になってしまうため、たとえ一定のノルマが設定されていたとしても、取り組む姿勢が大切です。
また、ときにはお客様から不満を言われたり、理不尽なクレームに悩まされたりすることもあります。しかし自分のスキルを高め、お客様に喜んでもらうことがエステティシャンとしてのやりがいのひとつといえるでしょう。要求水準の高いお客様に対して、根本的に何を求めているのか、また何が不満原因になっているのかといった分析をすることで、自身のカウンセリング力も高まるしょう。
職業としての将来性について見てみましょう。
プロのエステティシャンとして長く活躍するためには何歳程度まで働けるのでしょうか? 明確な統計はないのですが、高齢化によりシニアやシルバー世代の顧客が増えると、それなりに円熟したエステティシャンへのニーズが高まることが期待できます。サロンスタッフ募集の記事を見ると、現在では40歳程度までが多いのですが、将来的には変わってくるかもしれません。また、最近では結婚や子育てとの両立ができるように時短勤務や、スポット勤務ができるところも多くなり、エステ業界でも働き方改革に取り組みつつあると言えそうです。もちろん自分のサロンを運営すれば、経営者として定年制なく働くことができます。また、業界でカリスマと呼ばれるようになれば、後進を指導する役割として、技術や経験を活かすこともできます。
エステティシャンとしての成功のカギは、もちろんエステ技術の良さが第一ですが、接客力も大きな要素です。基本的にはエステサロンに勤務しながら、実力や接客力を付けていくことになるため、多くのエステティシャンのスタートの場はエステサロンだといえるでしょう。しかし実力次第で、高齢者施設での訪問エステ、美容クリニックとの連携などさまざまな場での活躍が期待されています。活躍の場をさらに広げるためにも、美容鍼灸をはじめ、いろいろな新しい技術を探求する姿勢を持ちつづけれることが大切でしょう。