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自分に向いている仕事とはなんだろう? 高校生のときは、まだ社会の情勢や多くの仕事内容、どんなふうに生きていく方法があるのかなどの知識が十分にありません。具体的な経験も少ないため、自分の将来像が見えずに思い悩むことがあるかもしれません。そうしたときに、将来を考えるヒントになるのは、自分が何に適性があるのかをしっかりと考えることです。今回は、自分に向いている仕事がわからない理由、向いている仕事の見つけ方、適性別におすすめの仕事を紹介します。
まず、自分に向いている仕事がわからない理由として、考えられる代表的なものを紹介します。
ほとんどの高校生は、働いた経験があるといってもアルバイト程度でしょう。また、仕事以外の社会経験も多くはありません。その中で、自分に向いている仕事を見つけるのは非常に困難です。
自分にはどのような適性があるのか、あるいはどういった分野が得意であるのかに気づけていなければ、当然、どういった仕事に向いているのかもわかりません。自分のことは自分が一番よく知っていると思うかもしれません。しかし実際には、指摘されなければ気づかない長所もあるのです。客観的に評価をしてもらうために、他人の意見を聞くことも大切です。
「自分は勉強の成績が悪い」「スポーツが苦手」「人と積極的に話せない」など、苦手なことや短所ばかりを見てしまうと、自分の適性はわからないままです。「人と積極的には話せないが、人の話を聞くのは得意」「スポーツは苦手だが、試合中の選手に的確なサポートができる」など、苦手な分野の中でも得意な作業や、積極的に取り組めることがあるかもしれません。苦手だから向いていないと決めつけずに、その分野を分析してみると、自分ができそうな内容と出会えるかもしれません。
まだ人生経験の浅い高校生が、自分に向いている仕事を見つけるのは、決して簡単ではありません。どうすれば、その中で向いている仕事を見つけられるのでしょうか。その考え方のヒントをいくつか紹介します。
例えば、数学の成績が良い場合、論理的思考に優れていることが考えられます。論理的思考が求められる仕事といえば、プログラマーや研究者などが思い浮かびますが、それだけではありません。コンサルタントや教師、マネージャーなど、全体を俯瞰(ふかん)して指示を出す仕事にも向いています。このようにひとつの素養から、多くの向いている仕事が見えてくるのです。
「初見の長文でも途中でつかえずにすらすらと読める」「初対面の人との会話でも話を盛り上げられる」「一度行った場所は2回目以降、地図がなくてもたどり着ける」など、苦労しなくても簡単にできてしまうことを探してみましょう。
これは、周囲の人に聞いてみてもよいでしょう。自分では簡単にできてしまうので、誰でもできることと思い込んでしまっているケースが多く、本人は気づきにくいものです。
好きなものが必ずしも得意とはかぎりません。向いている仕事を探す際、好きなものは何かと考えてしまいがちですが、「好き」と「向いている」は別物です。もちろん、好きなものと得意なものが同じであれば問題ありませんが、向いている仕事を探す場合は、「好きかどうか」ではなく、「得意か不得意か」で考えてみましょう。
学校がアルバイトすることを許可しているなら、短期間のアルバイトをいろいろと体験してみるのもよいでしょう。「好き嫌い」「得意・不得意」を考えずに、さまざまな職種を体験してみましょう。そこから自分の気がつかなかった適性や得意分野が見えてくる場合があります。
向いている仕事が見つからない理由、見つけるためのヒントを説明しました。次に、適性別に向いている仕事を紹介します。
決して表には出ないものの、影で人の役に立つことに積極的になり、的確なサポートができる人に向いている仕事です。
医療や介護の現場で、医師や介護士のサポートをする仕事です。派手な仕事ではありませんが、多くの人の命を預かる重要な役割を果たします。
スポーツや心身の健康を維持するためのサポートをする仕事は、今後も多くの場で求められる仕事です。身近で頼れる存在として人の役にたちたいという思いが強い人が、適性を見いだせる分野かもしれません。
困っている人を助ける仕事の代表格ともいえます。多くの人が健康的で安全な暮らしを維持できるために、自分の力を尽くす仕事です。責任感を持って人を支援することに情熱が注げる人に向いているでしょう。
ほかにも、トレーナー、ウエディングプランナー、海外ボランティア、納棺師、牧師、住職なども人の役に立つのを得意とする人が向いている仕事といえるでしょう。
会社員の中でも、もっとも多くの人と話す機会のある仕事です。また、業種にもよりますが、契約が決まれば取引先と長期間にわたって付き合っていく必要があるため、じっくりと長く付き合いができる人が向いている仕事ともいえます。
店舗や飲食店には毎日、さまざまな顧客が訪れます。そこで働くためには、誰とでも分け隔てなく話せる素養が求められます。相手の話を聞き、柔軟に接する対応力も必要な仕事です。
人と話すことが得意なことに加えて、教えるのが好きであったり、子どもが好きかどうかも重要な要素です。そのため、教えるのが得意でも子どもの相手が不得意な人には向いていないかもしれません。
仕事上、会話をする機会は比較的少なく、勤務時間の多くはデスクワークで自分の仕事に集中できます。ひとりでもペースを乱さず、目的に向かってひとつひとつの作業を継続できる忍耐力のある人もこの仕事に向いているでしょう。
こだわりが強く、コツコツと努力して道を究めたいといった人に向いている仕事です。社員として働く以外に、独立も可能な仕事のため、自由に働きたいといった人にも向いているといえます。
車が好きで、ひとりの空間を大切にしたい人には最適な仕事です。運転技術を磨けば、大型トラックで全国を回るような仕事も可能です。
自分が生涯続けられる仕事を探すとなると、悩む人もいるでしょう。しかし、漠然と未来を考えるだけでは何も見つかりません。いまの自分を客観的に見つめ、得意なこと、適性を感じることを深く追求してみると、その先に自分のやりたいと思えるものが見えてくるかもしれません。焦る必要はなく、まずは進学して広く学ぶことも大切です。それと同時に、自分を見つめ直す、客観的に評価してみるなど、自分自分を深く知る時間をもつことで、やりたいと思える仕事が見つかるきっかけができるでしょう。