進路情報
高校3年生というと、将来の夢について真剣に考え始めるころではないでしょうか? 小さいころの夢をいまでも追い続けている人もいれば、高校生になってからなりたい職業が見つかった人もいるでしょう。
また、考えてはいるもののまだ漠然としている人も多いかもしれません。今回は、複数のアンケート調査の結果から分かる、現代の高校生が考える将来の夢を紹介します。また、なぜ将来の夢が見つからないのか、見つけるためには何をすべきなのかについてお伝えします。
2020年12月に文部科学省が発表した「令和2年度学校基本調査」によると、大学(短期大学含む)進学率は58.6%、専門学校進学率は24.0%でした。合わせて82.6%が、高校卒業後に進学の道を選んでいます。では、高校生の時点で将来の夢についてはどの程度、具体的に考えているのでしょう。
2019年8月にソニー生命保険株式会社が発表した「中高生が思い描く将来についての意識調査2019」(複数回答形式 3つまで)によると、高校生が将来なりたい職業のベスト3は次のとおりです。
1. ITエンジニア・プログラマー
2. 社長などの会社経営者・起業家
3. YouTuberなどの動画投稿者
1. 公務員
2. 看護師
3. 歌手・俳優・声優などの芸能人
ほかにも、男子、女子の高校生があげている「なりたい職業」として、プロeスポーツプレイヤーや作家・ライター、学者・研究者、ゲームクリエイターなどがあり、堅実性よりも好きなもの、趣味を仕事にしたいと考えている高校生もいるようです。
別の調査を見てみましょう。2020年2月に一般社団法人全国高等学校PTA連合会・株式会社リクルートマーケティングパートナーズが合同で発表した「高校生と保護者の進路に関する意識調査」では、将来なりたい職業のベスト3は以下の結果でした。
こちらは前出の結果に比べ、比較的、堅実な職業が人気です。男子、女子高校生があげている3位以下も医師、薬剤師、研究者、製造業、獣医、理学療法士などが続いています。
では、高校生は将来のことをどのように考えているのでしょうか。前出のソニー生命保険株式会社の調査によると、「自分の10年後を具体的に考えているか」という問いに対し、「具体的に考えている」と回答したのは20%、「具体的ではないが、考えたことがある」が60.1%でした。これらのデータから考えると、高校生の段階では、将来のイメージはまだ漠然としていて、あこがれや希望、または安定した職業と考えられる基準で、なりたい職業を選んでいるようです。
漠然とはしていても、なんとなく将来の夢が見えている人もいれば、まだ全く見えていない人もいるでしょう。実際、あとから振り返ってみれば、高校生の時点で描いていた夢とは全く別の仕事をしている人も少なくありません。
なんらかの目標やあこがれを持って専門学校や大学進学を目指しているならば、志望校を絞りやすくなります。しかし、なかには将来の夢が見つからないまま、進学を目指している人もいるでしょう。では、将来の夢が見つからないという人にはどういった理由があるのでしょうか。
将来の夢が見つからないというのではなく、まだ見つけなくてもかまわないと考える人は少なくないでしょう。大学に入ってから考えればよいと思っていれば、当然、高校生の段階で将来の夢は見つかりません。
世の中にどういった仕事があるのかがわからければ、目標にすることはできません。もちろん、会社員や医者、銀行員といった一般的な職業があることは分かるでしょう。しかし、それらが具体的にどのような仕事内容かを把握していなければ、現実的には考えられないでしょう。
なりたいと思える仕事がないのは、多くの場合、どういった仕事があるのかを知らないことからくるものです。業務内容まで理解している仕事が少ないため、選択肢が少なく、「なりたいと思える仕事がない」につながってしまいます。
これらのことから考えられるのは、総じて、将来の夢が見つからない理由は、なりたい仕事がないからではないということです。なりたい仕事を見つけるための情報を、十分に集められていないからとも考えられます。
高校生の段階で将来の夢が見つけられれば、早くから夢に向かって準備をすることができるでしょう。
もちろん、いろいろな経験を経て見つけられる夢もあれば、大学生活で視野を広げていくことで見えてくるものもあります。必ずしも高校生の時点で将来の夢が見つからなくてもよいのです。
ただし、高校生の時点で将来の夢を見つけられれば、夢に最短距離で近づける可能性は高まります。
では、将来の夢を見つけるためには何をすればよいのでしょうか。
将来の夢を「仕事」として考えてしまうから、見えてこない可能性があります。まずは自分が好きなこと、興味のあることをすべて書き出してみましょう。例えば、「音楽」「スポーツ」「お笑い」など、最初はおおまかにでもいいので思いつくままに書き出していきます。
また、現状は好きではなくても、かつて好きだったこと、熱中していたことでもかまいません。さらに「プロレスに詳しいね」「足が速いね」など周囲の人から言われたこともすべて書き出します。
次に、書き出したことを細分化させていきましょう。例えば、「音楽」の中でもどういうジャンルの音楽が好きなのか、家で聞くのが好きなのか、ライブ鑑賞が好きなのか、演奏するのが好きなのかなど、具体的に考えるのです。ひとつの「好き・興味」を細分化していくと、最終的には具体的な職業につながっていきます。
例えば、音楽が好き→舞台鑑賞が好き→音楽や劇で人に感動を与えてみたい→舞台を創ってみたいとも思う→舞台監督や劇作家などにつながります。
将来の夢を見つけるには、自分を深く知ることも重要です。例えば、「人と話すのが得意」「家の中にいるより外に出かけたい」といった性格であれば、デスクワークよりも接客や営業が向いているのでは、と考えられます。どんなに小さいことでも、自分の長所、短所を考え、それに合っている仕事は何かと考えてみるのもよいでしょう。
仕事ではなく、人を起点にして考えてみるのも夢を見つける方法のひとつです。自分があこがれている人がいる場合、その人の「どこに・なぜ」魅力を感じているのかを分析してみましょう。それが客観的に自分を見つめることにつながり、あこがれの人のようになるにはどうすればよいか、自分が何をすればよいかが分かるかもしれません。
本当に自分にとってやりたいと思うことを見つけるためには、しっかり自分と向き合う必要があります。
何が好きなのか、何に興味があるのか、自分はどういった性格なのか、あこがれの存在にはどうしたら近づけるのかなど、自己分析をし、将来の夢をぜひ見つけてください。