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AO入試と推薦型入試はどう違う?入試対策のポイントも紹介

2021年、大学・短期大学(以降、短大)の入試方法が大きく変わりました。これまで「AO入試」と呼ばれていた入試方法が「総合型選抜」へと名称変更し、一部内容の変更も見られます。しかし、専門学校の入学試験は今後もAO入試の名称で実施されるケースもあります。今回は大学・短大の新たな入試方法である総合型選抜について、従来のAO入試との違いや、一般入試、推薦型選抜との違いなどを見ていきます。また、専門学校でのAO入試とはどういったものかについてもお伝えします。

AO入試とは?

AOとは「Admissions Office(アドミッションズオフィス)」の略称で、日本語では入学選考事務局を意味します。AO入試がほかの入試方法と大きく違うのは、学校での成績や試験の結果だけで合否が決まるわけではない点です。AO入試では、その学校がどういった生徒を、どのように育てたいと思っているのかを示す教育理念に基づいて、受け入れ方針(アドミッションポリシー)に合った人物を合格者として選びます。

大学・短大では、AO入試から名称が変更し、総合型選抜と呼ばれるようになりましたが、基本的な考え方は、AO入試と大きく変わってはいません。

AO方式の入試を導入する学校は年々増えています。文部科学省の公表値によると、AO入試で大学に入学した生徒数は2017年度で約5万6千人でしたが、2年後の2019年には約6万1千人と約5千人増加しています。

従来のAO入試の流れ

まずは、AO入試の流れを確認しましょう。

  1. 希望する学校のオープンキャンパス、体験入学、進学説明会、学校見学会、学園祭などに参加し、AO受験のエントリーを行う。早い学校では6月ぐらいから始まる。
  2. その後、指定された学習会や面談などに参加し、学校により求められる課題や書類の提出で出願する(9月頃)。出願時は、ほかに写真、受験票、成績証明書、志望動機書など指定された書類も併せて提出する。
  3. 学校側は提出された書類をもとに審査を行い、早ければ11月頃から順次合否が発表される。

総合型選抜とAO入試の違い

総合型選抜では、AO入試で行っていた審査に加え、小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目にかかるテスト、資格・検定試験の成績などの結果、もしくは大学入学共通テストの結果のうち、少なくともいずれかひとつを活用することが必須となりました。

以前から個別に試験を行っていた学校もありましたが、2021年からは必須となるため、受験希望者は準備を進める必要があります。また、志願者本人が記載した活動報告書や入学希望理由書、学修計画書などの資料を、AO入試時以上に積極的に活用するようになった点にも注目です。合格発表は早いところで11月頃から始まり、学校によっては年明け後3月ぐらいまで入試を実施するケースもあります。

専門学校でのAO入試の方法と時期

総合型選抜は、旧AO入試として分類されますが、これは主に大学・短大における変化といえます。専門学校の場合はこれまで同様に、AO入試という名称で試験を行うケースがあります。

専門学校でのAO入試は、面接や書類選考によって行われるケースが多いものの、これに加えて小論文、基礎学力試験が実施される場合もあります。大学・短大と同様に、志願者はオープンキャンパスや体験入学などに参加した際にエントリーを行います(6~8月)。実際の試験は7~9月に実施する学校が多いようです。専門学校のAO入試は、大学や短大と比べ、合格率が高いのが特徴です。

AO入試(総合型選抜)と一般入試、推薦型選抜の違いは?

大学・短大の入試方法は、一般入試、AO入試(総合型選抜)、推薦型選抜の大きく3つに分けられます。専門学校の入試方法も基本的には大学・短大と変わりません。また入学試験としては、2021年度入試から名称が変更された「大学入学共通テスト」もあります。それぞれの違いは次のとおりです。

一般入試

大学・短大でもっとも多い入試方法です。主に1~2月(国公立大学は3月)に試験が行われます。教科数は文系・理系によって異なりますが、3教科が一般的です。私立大学の場合、試験日程が合えば何校でも受験可能です。

専門学校の一般入試は、AO入試や推薦入試で合格者が多く出た場合、募集が途中で打ち切られてしまうケースもあるため注意が必要です。受験時期は早いところでは11月ぐらいから始まります。遅いところでは3月に行う学校もあります。

推薦型選抜

推薦型選抜は、全国の高校に在籍する生徒を対象とする「公募推薦」、大学側が指定した高校に在籍する生徒だけを対象とした「指定校推薦」、そして、高校の推薦を必要としない「自己推薦」の3つに分けられます。基本的には、高校在学時の成績や学業以外での取り組みをもとに、生徒の意欲や個性が重視される入試方法です。

国公立大学の場合、出願時期は11月初旬で、11月中旬から12月中旬ごろに試験が実施され、ほとんどの場合は年内に合否の発表があります。私立大学は国公立大学よりも日程が早く、出願時期が10月初旬で、10月中旬から11月に試験が実施され、12月のはじめに合否発表があるのが一般的な日程です。

大学入学共通テスト

2020年まで「センター試験」と呼ばれ、2021年度入試から新たな名称でスタートしたのが、大学入学共通テスト(以降、共通テスト)です。

国公立大学の場合、共通テストは2~3月に実施される一般入試の1次試験的な位置づけとなり、必ず受けなくてはなりません。共通テストには私立大学が参加している場合もあります(大学入学共通テスト利用入試)。大学入学共通テスト利用入試では、共通テストの成績だけで合否が決まる「単独型」と、それぞれの大学独自の試験結果と併せて判断する「併用型」があります。

一般的な日程は次のとおりです。国公立大学、私立大学ともに出願時期が9月下旬から10月初旬で、共通テストは1月中旬に実施されます。国公立大学の場合は、その後2次試験の出願、試験実施があり3月に合否が発表されます。私立大学の場合は、出願、1月下旬に単独型の合否発表、2月に併用型の個別試験実施、合格発表と続きます。

専門学校の入試は、通常、大学・短大と同じ方式が取られますが、「学校推薦」「自己推薦」の2種類のみになるケースもあります。入試時期はAO入試の終わりを待って10月ぐらいから始まるところが多いでしょう。

AO入試の対策は?

AO入試で合格するためにはどういった点に気をつければよいのか、また、どういった対策が必要になるのかを見てみましょう。

志望する学校の理念、方針を理解、把握する

AO入試の最大の特徴は、入学志望者が学校の受け入れ方針(アドミッションポリシー)に合う人物かどうかが審査される点です。そのため、まずは、入学を希望する学校の理念や方針を理解しておくことが大切です。また、自分が学校に合わせるのではなく、自分に合ったアドミッションポリシーを持つ学校を選択することが、合格するためのポイントといえます。

志望理由を明確に説明できるようにする

AO入試では、面談も合否を左右する大切な要素です。特に、「なぜ、この学校に入りたいのか」という志望理由をきちんと伝える必要があります。自分の言葉で志望理由を説明できなければ、学校側に熱意が伝わりにくくなります。

アドミッションポリシーを理解しておくことに加えて、なぜ、この学校で学びたいのかをしっかりとアピールできるように準備しておきましょう。

総合型選抜の試験対策も怠らない

大学・短大では、AO入試から総合型選抜に変わるため、各学校の試験や共通テストも受ける必要があります。

これまで以上に学力が重視されるようになるため、試験対策もきちんとしておかなければいけません。特に小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技など、学校独自の試験では、その場で柔軟に対応する「臨機応変さ」も求められます。試験対策を怠ると、どれだけアドミッションポリシーに適応していても、不合格になってしまう可能性があります。総合的な試験対策を立てて、しっかり準備を進めましょう。

AO入試で合格するポイントは総合的な能力の強化

AO入試では、それまで在籍していた学校での成績や試験の結果だけで合格が決まるわけではなく、人物が受験先の学校の特性に合っているかが審査されます。総合型選抜では、AO入試の評価基準に学力評価が加わり、総合的な力が求められるようになります。「高校在学時に何をしてきたか」「大学・短大・専門学校に入って何をしたいのか」「目指す学校の理念、方針を理解しているか」だけでは合格が難しくなっているのです。

特に大学・短大を受験する場合は、これまで以上に学力を試され、総合的な力や多面的な能力が求められるようになるでしょう。専門学校でのAO入試は、これまでの形式から大きく変わる部分はあまりありません。しかし、社会人として必要なスキルを身につけるためにも、学力向上が大切なのは大学・短大に入学した場合と同じです。どういった進路を選ぶとしても、合格を目指すために、総合的な能力を高めるように取り組むことが大切です。