進路情報
2020年以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、医療現場は人手不足の状況にあると報じられています。しかし、医療業界の人手不足は以前から続いていることであり、常に新しい人材が求められているのが現状です。人の生命に携わる医療業界の仕事には大きな責任が伴います。その一方で、喜びややりがいを感じられる仕事といえます。今回は医療業界の現状を解説するとともに、医療業界にはどういった仕事があるのかを紹介します。将来どんな仕事に就くか迷っている人に向けて、これからの医療業界についてお伝えします。
医療業界は、常に人手不足の傾向があります。なぜ、人手が不足してしまうのでしょうか。入職率(新たに就職した人の割合)や離職率(その仕事を離れた人の割合)の現状を見ていきながら、これからの医療業界がどうなっていくのかを考えてみます。
厚生労働省が半年に一度発表している雇用動向調査では、産業を16種類に分け、それぞれの入職率と離職率を公表しています。「医療・福祉」業界の状況はこれまで、全産業中で入職率も離職率も中間から少し上位ぐらいに位置していました。
しかし、最新の結果(2020年上半期)では、やや順位を上げています。医療・福祉業界への入職率は10.1%で、「宿泊業・飲食サービス業(12.4%)」「教育・学習支援業(11.5%)」「サービス業(10.4%)」に次いで、16産業区分中4位でした。一方、離職率は8.8%で、「宿泊業・飲食サービス業(15.3%)」「教育・学習支援業(12.2%)」「サービス業(11.0%)」「生活関連サービス業・娯楽業(10.2%)」に次いで5位です。
入職率、離職率ともに上位ということは、就職する人も辞職する人も多い傾向にあるということです。医療職の多くは国家資格が必要な専門職であり、誰でもできる仕事ではありません。そのため医療業界では、常に人材が求められているのです。国家資格を取得すれば、おそらく就職先に困ることはないでしょう。今後は少子高齢化が進む中、高齢者の看護や介護を行う医療職の人材がさらに求められることが考えられます。
現在も人手不足が続いている医療業界ですが、今後はさらに、人材の確保が大きな問題になると予測されています。パーソル総合研究所・中央大学による「労働市場の未来推計2030」では、医療・福祉業界は2030年に187万人の人手不足が発生すると推計されています。推計結果が生じた前提に、2030年までの経済成長と人口動態があるとされています。日本の人口の5人に1人が75歳以上の後期高齢者になる2025年には、介護ニーズが増え、対応する医療職の深刻な人手不足が考えられるのです。
医療を必要とする側にとって、人手不足は深刻な問題です。一方で、職業として医療を提供する側から見ると、今後も就職先に困ることはなく、長期に渡って需要の高い職種であるともいえます。基本的に、介護や福祉の分野も含めた医療業界の仕事は、なくなることはありません。むしろ、高齢化が進む日本ではこの先、今以上に求められるでしょう。これから就職を考える人にとって、医療業界は就職に有利な業界といえるのです。
医療業界の現状を踏まえたうえで、実際に就職した場合のメリット・デメリットを見てみましょう。
以下の2点が代表的なメリットに挙げられます。
参照:令和2年賃金構造基本統計調査(賃金の推移)|厚生労働省
令和2年賃金構造基本統計調査(産業別)|厚生労働省
一方で、デメリットもあります。
上述したメリットやデメリットについては、いずれも職場環境や働き方、職種によって状況は大きく異なります。続けて、医療業界の職種や職場、具体的な仕事内容を見てみましょう。
医療業界の代表的な職種として「医師・歯科医師」があります。病気に対する治療や診断を行うのが主な仕事です。いずれも6年制の大学を卒業し、国家試験に合格しなければいけません。医師(外科医・内科医・脳外科医・産婦人科医など)と、歯科医師は国家試験の内容が異なるため、実際に学ぶ専門領域は異なります。職場は幅広く、病院やクリニックに勤務するほか、企業に所属する産業医や、健康診断業務に従事する、自身で開業するなどがあります。
医師の指示を受けて治療のサポートを行うのが、看護師や助産師です。看護大学や専門学校などの養成校を経て、国家資格に合格する必要があります。看護師の仕事は、医師の診断や治療方針に従って患者の回復を促すためのさまざまな処置や介助を行うことです。助産師は、妊娠中の女性や出産をサポートする仕事です。助産師は女性のみがなれる仕事であり、看護師の資格を取得したうえで、助産師免許を取得しなければなりません。
薬剤師は、医師が処方した薬を患者に渡し、正しく治療が進められるように服薬指導や健康アドバイスを行います。6年制の大学を卒業し、国家試験に合格しなければいけません。職場としては、調剤薬局やドラッグストア、病院、製薬企業などがあります。
治療中の患者が早く社会復帰できるよう、リハビリテーションを担当するのが理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士です。いずれも国家資格が必要で、専門学校や大学などの養成校を経て、受験資格を得ます。それぞれの違いは以下のとおりです。
柔道整復師や鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師は、手技を用いて治療を行う仕事です。いずれも国家資格が必要で、専門学校や大学、短期大学などの養成校を経て、受験資格を得ます。それぞれの違いは以下のとおりです。
医療業界において、国家資格を取得せずに働けるのが医療事務です。ただし、専門的な知識を得るために、さまざまな団体が運営している民間資格を取る必要があります。主な就職先は病院、クリニック、診療所などで、患者の対応や受付、医療費の計算や診療報酬の請求などを行います。
MRは、メディカルリプレゼンタティブの略称で、日本語では、「医薬情報担当者」と呼ばれる仕事です。製薬会社に就職し、病院や医師に自社の医薬品を紹介しながら、最新の医療情報を提供します。営業職の一種とされますが、基本的には情報提供が主な仕事であり、医薬品を病院に販売する仕事ではありません。ひとつの製薬会社に勤務する以外にも、MR派遣会社に登録して複数の製薬会社の医薬を扱うケースもあります。
上述した以外にも、医療技術系の仕事として、「臨床工学技士」「義肢装具士」「診療放射線技士」などがあります。また、介護・福祉系には「介護福祉士」「ホームヘルパー」「社会福祉士」など、さまざまな選択肢が挙げられます。
医療系の職種やその資格については、「医療系の資格にはどういったものがあるの?資格の種類や難易度を紹介」でも紹介しています。
医療業界では常に新たな人材が求められており、資格を取得すれば将来的に就職先に困ることはないと考えられます。また、納得がいくまでやりたい仕事を続けられるのが大きな魅力です。さまざまな人の役に立ち感謝される仕事に就きたいなら、医療業界はおすすめです。働くことにやりがいを感じられるでしょう。
日本健康医療専門学校は、柔道整復師・鍼灸師などの医療系の資格取得を目指す専門学校です。柔道整復師は、スポーツトレーナーやアスレティックトレーナーとしての活躍の場があります。鍼灸師は、介護や福祉施設での需要も高く、将来性があり幅広い活躍が可能です。
専門学校の詳細については、以下をご参照ください。