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スポーツ系の仕事といっても、その職種は幅広くあります。プロスポーツ選手として活躍する、トレーナーやコーチとして選手を支えるなど、仕事の種類は多種多様です。どのような仕事を目指せばよいのか悩む人もいるでしょう。そこで今回は、スポーツ系の仕事に就きたい人に向けて、スポーツに関係するさまざまな職種の特徴や、資格の必要性などについてお伝えします。
スポーツに関わる仕事は多種多様で、選手、指導者、コーチ、トレーナー、スポーツ用品販売業など、さまざまな職種があります。スポーツに関わる仕事に従事する人の総数を把握することは難しいのですが、個別に見ていくと、おおまかな人数がわかります。
例えば、公益財団法人日本スポーツ協会が公表しているスポーツ指導者に関するデータを見ると、公認スポーツ指導者登録者数は608,986人(2020年10月1日現在)です。この数字には、スポーツリーダーやコーチングアシスタントに該当するスポーツ指導基礎資格のほか、フィットネス資格、マネジメント資格、メディカル・コンディショニング資格などが含まれます。ほかにも、学校や地元チームの指導者、スポーツ関連企業に勤める人、そしてプロスポーツ選手を加えれば、かなりの人数となるでしょう。
なかには、資格取得が必要な職種もあれば、学歴やスポーツ大会の成績が重視される職種もあります。それぞれ求められるものは異なるため、スポーツに関わる仕事をしたいと思ったら、具体的な目標を定め、その仕事に就くためには何が求められているのかを知る必要があるでしょう。
数あるスポーツ系の仕事のなかでも代表的なのが、プロスポーツ選手、または選手をサポートする仕事でしょう。まずは、プロ・アマを問わず、プロスポーツ選手の種類と、スポーツをする人に直接関わる仕事を紹介します。
スポーツ系の仕事として、多くの人があこがれるのがプロスポーツ選手でしょう。野球・サッカー・ゴルフ・テニス・バスケットボール・ボウリングなど、さまざまな競技でプロスポーツ選手が存在します。また、プロレスリングやボクシングといった格闘技、釣りやスケートボード、サーフィン、そしてゲームの成績で賞金を稼ぐeスポーツなどもスポーツに分類され、プロの選手が存在します。
プロ選手になれる条件は、ゴルフやボウリングのように資格取得のためのテスト(プロテスト)に合格する、または野球のようにドラフト会議で選出されるなど、競技によって異なります。各種大会で優秀な成績を収め、スポンサーを見つけられればプロと名乗れるスポーツもあり、プロを目指す方法はさまざまです。
トレーナーは、プロスポーツ選手や、アマチュアスポーツ選手、スポーツジムやフィットネスクラブに通う人などをサポートする仕事です。トレーナーには担当分野別にさまざまな資格があります。競技能力を高める「ストレングストレーナー」をはじめ、スポーツジムやフィットネスクラブで会員のサポートを行う「フィットネストレーナー」、けがをした人の運動機能を回復させる「メディカルトレーナー」などがあります。ほかにも、スポーツ選手の健康管理やけがの予防を行う「アスレティックトレーナー」や、スポーツ選手や一般の人の日々のコンディショニング調整を行う「コンディショニングトレーナー」などがあります。
ただし、これらの資格はいずれも民間資格であり、法的には医療類似行為に関わることができません。選手がけがをしたときの治療には対応できないということです。医療系の国家資格である柔道整復師、鍼灸師、理学療法士などの資格を取得していると、治療に対応できるため有利です。
スポーツジムやフィットネスクラブで会員向けにプログラムを作成したり、トレーニングを指導したりするスポーツインストラクターや、中学や高校・大学の部活動や社会人チームで指導を行う監督・コーチなどの職業があります。
スポーツインストラクターとして働くために必要な資格は特にありません。ただし、大学や専門学校でスポーツ理論や人体の基礎知識を学んだ人が、卒業後にスポーツジムやフィットネスクラブに就職するケースが多いようです。
監督・コーチ業については、学校の部活動の顧問になる場合と、社会人団体や地域のスポーツチームの指導者になる場合とでは条件が異なります。学校の部活動は、教員が顧問として指導を担当するため、教員を目指すほうが近道かもしれません。ただし、スポーツに力を入れている私立学校や一部の公立学校では、外部から実績のある指導者を採用する場合もあります。社会人や地域のチームの場合は、基本的には外部から経験者を招き、指導者として登用されるケースがほとんどです。
試合中に適切なジャッジを行う審判員も、スポーツには欠かせない仕事です。多くの競技で、スポーツ審判員は資格試験が設定されています。なかには、プロレスリングのレフェリーのように、その競技の経験者が採用されたり、各競技団体に所属したりすることで仕事に就ける場合があります。収入は競技によって異なり、野球や相撲の審判のように、その仕事だけで生活できる水準の収入を得られるケースはそれほど多くはありません。
スポーツドクターは、スポーツ選手の健康管理や治療、予防研究などを行う仕事です。また、地域や都道府県レベルの競技者育成において、競技者の栄養・食事に関する教育、支援を行うスポーツ栄養士の仕事もあります。いずれも国家試験を受けて、医師や栄養士の免許を取得していることが前提です。
日本スポーツ協会公認スポーツドクターの資格を取得する場合、日本国の医師免許取得後4年を経過し、日本スポーツ協会や加盟団体からの推薦が必要です。そのうえで日本スポーツ協会の講義を受講しなければいけません。スポーツ栄養士は、公益財団法人日本スポーツ協会と公益社団法人日本栄養士会の共同認定による公認資格です。満22歳以上の管理栄養士で、スポーツ栄養指導の経験もしくは予定があり、日本スポーツ協会および日本栄養士会から認められた人が、両団体が実施する講義を受講して資格を取得します。
続いて、スポーツ選手に直接関わることは少ないものの、現場に欠かせないスポーツ用品を扱う仕事や、スポーツ施設・サービス関連の仕事を見てみましょう。
さまざまなスポーツで使用される道具のデザイン、企画、販売を行うスポーツ用品メーカーでの勤務も、スポーツ系の仕事といえます。汎用品から特定のプロスポーツ選手専用の道具まで、幅広いスポーツ用品を扱います。デザインや企画に従事するか、販売を担当するかによって業務内容は異なりますが、どの部署であってもスポーツに関する知識は持っておいたほうがよいでしょう。
スポーツ用品メーカーに就職するために特別な資格は必要ありませんが、デザインを手がけるのであれば、デザインの基礎を習得しておく必要があります。
スポーツ用品の専門店や百貨店のスポーツ用品売り場での販売員も、幅広いスポーツの知識が求められます。また、接客業として顧客とのコミュニケーションスキルが問われるでしょう。興味があればアルバイトに応募して仕事を体験してみるのも一案です。
都道府県や市区町村が運営する体育館、プール、野球場、サッカー場、陸上競技場などのスポーツ施設で、スタッフとして働く仕事もあります。業務内容は施設によって異なりますが、清掃・建物の点検・備品管理・設備や用具の修繕・窓口対応・利用申請の受付・料金の徴収・予約管理など、施設運営に関するさまざまな業務を担います。
スポーツジムやフィットネスクラブなどで、トレーナーとしてではなく運営スタッフとして働くケースです。会員サポート・予約受付・施設管理・清掃・トレーナーのスケジュール管理など、裏方として施設の運営にかかわります。
野球やサッカーなどのプロスポーツチームのスタッフとして働くケースです。スポンサーを探す営業職や、イベントやチケット販売に関する企画職、選手の取材対応やファンクラブ運営を行う広報職などが挙げられます。プロスポーツチームのスタッフになる方法は、チームを運営する企業に採用されるケースのほか、チームの親会社やスポンサー企業に就職し、チームに派遣される場合もあります。興味があるチームがあれば、人材募集をしているかどうか確認してみましょう。
さまざまなスポーツイベントを企画し、開催を実現させるのがスポーツプロモーターです。選手として関わるのではなく、試合を開催したいといった目的がある人に向いています。イベントの場所や日時の調整、広報宣伝活動、メディア対応などの一切をプロデュースし、運営にかかわります。
スポーツプロモーターになるには、イベント会社や広告代理店に就職し、経験を積む必要があります。スポーツに関する知識はもちろん、交渉力やビジネス能力も問われる仕事です。
最後にスポーツを多くの人に伝えるための仕事についても見てみましょう。
スポーツやスポーツ選手などをさまざまな側面から取材し、記事にするのがスポーツジャーナリストの仕事です。スポーツ新聞や出版社に就職してスポーツに関する記事を担当するほか、経験を積んだあと独立してフリーランスとして活躍する道もあります。
試合の様子や選手の活躍を撮影するのがスポーツカメラマンです。スポーツだけを撮影対象とする人もいれば、幅広い対象を撮影しながら、スポーツの撮影も対応する人もいます。スポーツカメラマンになるには、新聞社や出版社に就職するケースがほとんどですが、フリーランスのカメラマンの弟子になり、そこから独立するケースも見られます。
スポーツ雑誌記者は、最新情報を報道形式でニュースとして伝えることが中心の仕事です。スポーツジャーナリストに近い仕事ですが、どちらかといえば新聞記者の立場に似ています。編集者は記者が取材した内容を精査し、編集を行う仕事です。
スポーツに関わる仕事は多岐にわたり、さまざまな立場で取り組むことができます。どんな仕事を目指すとしても、スポーツに対する愛情と幅広い知識が求められます。どんなかたちでスポーツにかかわりたいのかを明確に考えておくとよいでしょう。特に、資格を必要とする仕事は、対応する内容によって目指す分野が変わるため、事前に方向性をしっかり考えておく必要があるでしょう。
例えば、スポーツトレーナーを目指す場合、対象となるスポーツにおいて「何を鍛えれば技術が向上するのか」「どのようなけがが多いのか」「けがをさせないためにはどのようなサポートが必要か」などを総合的に見たうえで、必要な資格を検討するとよいでしょう。
日本健康医療専門学校は、スポーツトレーナーを目指せる医療系専門学校として、柔道整復師や鍼灸師の資格取得で多くの実績があります。医療系の資格を持っていれば、あらゆるシーンでスポーツをサポートできるでしょう。
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