鍼灸師について知る
鍼灸師の資格取得後の目標として、独立開業を考える人もいるでしょう。開業を実現するためには、事前の準備が必要です。今回は、鍼灸師として独立開業をする際に何をすればよいか、開業の流れや注意点についてお伝えします。
鍼灸師になる方法や必要な資格を知りたい方は、以下もご参照ください。
―鍼灸師とは?具体的な施術内容や年収、なるために必要な資格まで徹底解説
―鍼灸師になるための資格は必要?その道のりや国家試験について
鍼灸師として独立開業するには、まず国家試験に合格し、資格を取得しなければいけません。その後、鍼灸院や病院・クリニックなどに勤めて、一定の実務経験を積んだうえで開業することになるでしょう。開業する方法は、すでにある鍼灸院やクリニックなどを引き継ぐか、自分の手で新規に開業するかのどちらかです。すでにある施設を引き継ぐ場合、ある程度の開業条件は整っていることがほとんどでしょう。ここでは新規開業するケースにおいて、開業までの流れをお伝えします。
独立開業するためには、計画的な準備が欠かせません。まず、基本となる以下の6つのステップを順に進めましょう。
また、必須ではないものの、指導基準として「施術室と待合室の区画は、固定壁で仕切られていること」、「ベッドを2台以上設置する場合には、各々カーテン等で仕切り、患者のプライバシーに配慮すること」などの要件もあります。
以上が一般的な開業の流れです。開業日をゴールとして逆算し、滞りなく準備が進められるように計画しましょう。
店舗を借りたり建てたりする際や、設備を整えるときには高額な費用がかかります。さらに、開業後には広告を行うための予算が必要になるでしょう。事前に十分な資金を準備しておくことも大切です。
では、実際に開業するまでにはどれくらいの費用がかかるのでしょう。
一般的な新規開業にかかる費用相場は、300~600万円程度が目安とされています。ただし、立地や従業員を雇用するかどうかなどによって、必要な費用は大きく変わります。また、開業後すぐに患者が集まるとは限らず、安定した収入が得られない可能性があります。少なくとも半年先くらいまでの運転資金を用意しておいたほうがよいでしょう。開業費は、開業準備にかかる費用だけでなく、開業後のことまで考えておくのがポイントです。早い段階から具体的な資金計画を立てておきましょう。
鍼灸師としてスムーズな開業を目指すだけでなく、安定して売上を維持するためには工夫が必要です。ここでは開業に失敗しないためにやっておきたいことをお伝えします。
なによりも、資金がなければ開業することはできません。融資を受けることも検討しながら、開業後1~2年先までの資金計画をしっかりと立てておくとよいでしょう。融資を受ける際にも、事業計画や資金計画が明確なほうが有利です。
開業時には、保健所の施設確認をクリアしなければいけません。事前に保健所に相談すれば、開業届提出時や監視員確認時の不備を避けられます。施設の不備が工事終了後に発覚すると、開業できないだけでなく、費用負担も大きくなってしまいます。事前に相談してスムーズな開業を目指しましょう。
開業したことを周囲に知ってもらわなければ、患者が集まることはありません。フリーペーパーや折込チラシ、Web広告などに広告掲載を検討することになるでしょう。広告については、「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(あはき法)」により厳しく規制されています。事前に規定を確認したうえで広告を作成しましょう。なお、広告で使用可能な事項としてあはき法に記載されているは以下のとおりです。
「肩こりが治る」「腰痛がなくなる」といった治療効果を書いたり、料金を明記したりすることはできません。
患者が来なければ、経営を続けられなくなってしまいます。広告だけでなく、開業準備時にSNSを利用して情報を拡散したり、ホームページを立ち上げたりするなど、インターネットの活用を含めて集客対策を検討しましょう。
施術用の物件を借りて開業するための資金を用意できない場合は、出張専門の開業も検討してみてはいかがでしょうか。その際は、開業届ではなく、「出張業務開始届」を市区町村内にある担当部署に提出します。必要な書類は以下のとおりです。
また、届出者(出張施術業務を開始する人)の印鑑も必要です。
ただし、出張専門であっても、折りたたみ式のベッドや衛生用品などの備品を準備する必要があります。そのために資金は用意しておかなければいけません。
これから資格取得を目指す学生の段階では、独立開業は先の話だと考えるかもしれません。しかし、資格取得後の実践において、開業を視野に入れた経験を積むのか、何も考えずに働くのかでは将来に大きな差が出ます。開業を前提とすれば、鍼灸院で働いている間に手技を獲得するだけでなく、経営者としての考え方を勉強することもできるでしょう。事前の準備に早すぎることはありません。将来の目的を明確にしたうえで、計画表を作成し、それに向かって一つひとつ実現することが大切です。
日本健康医療専門学校は、鍼灸師になるための資格取得を目指せる医療系専門学校です。就職後もすぐ活躍できるような授業カリキュラムや、卒業後の進路や就職についてのサポート体制も整っています。
どんな学校なのか気になったら、オープンキャンパスにご参加ください。
―学科・コースの詳細についてはこちらから
鍼灸学科