柔道整復師について知る
柔道整復師は、人が持つ治癒能力を最大限に発揮させる施術を行う治療家です。日常的なケガへの対応のほか、スポーツ分野においても活躍できる資格であり、これから柔道整復師を目指したいと考える人もいることでしょう。柔道整復師として働くためには、まず国家試験に合格する必要があります。今回は、柔道整復師になる流れとして、具体的な試験内容や合格率、勉強法などを詳しくお伝えします。
柔道整復師は、医療系の国家資格であり、開業権を持つため、独立開業して接骨院や整骨院などの施術所を開くこともできます。例年、3月上旬に試験が行われ、試験会場は北海道、東京、大阪など全国9~10か所に用意されます。まずは、国家試験の概要として、受験資格や試験科目、合格率を見てみましょう。
柔道整復師の受験資格は、学校教育法第90条に定める大学入学資格が必要で、かつ指定された学校または柔道整復師養成施設で専門的な知識や技術を3年以上学んだものとされています。つまり、高校卒業後にすぐ受験をする、一般の大学を卒業して独学したあとに受験するといったことはできません。
医療系の専門資格として、解剖学、生理学、運動学、病理学概論、衛生学・公衆衛生学、一般臨床医学、外科学概論、整形外科学、リハビリテーション医学、柔道整復理論、関係法規の科目で試験が行われます。試験方法は基本的に筆記試験で行われます。
柔道整復師の合格基準は年によっても異なりますが、令和3年(2021年3月)に行われた試験では、必修問題が全50問中40問正解(80%以上)、一般問題が200問中120問正解(60%以上)の両方を満たすこととなっていました。
合格率は変動がありますが、過去3年間ではおおむね65%前後で推移しています。2020年度の合格率は、受験者数4,561名、合格者3,011名で66.0%でした。
実施年度 合格者数(名) 合格率
2020年度(第29回) 3,011 66.00%
2019年度(第28回) 3,401 64.50%
2018年度(第27回) 4,054 65.80%
2017年度(第26回) 3,690 58.40%
2016年度(第25回) 4,274 63.50%
2015年度(第24回) 4,582 64.40%
※厚生労働省 柔道整復師国家試験の合格発表より
試験方法や受験手続きなどに関する詳しい情報は、以下のサイトをご確認ください。
柔道整復師になるには、前項で紹介した試験科目を網羅する必要があります。それぞれを簡単に見ていきましょう。
人の体に触れ、骨折・脱臼・打撲・捻挫などの施術を行うには、人体の構造を把握している必要があります。解剖学は人体の構造や形、機能などについて学ぶもので、医療行為に欠かせない学問です。
生理学とは、生体の機能を研究するものです。柔道整復師になるうえでも、人の細胞・組織・器官などの機能を把握する必要があります。
骨折や脱臼、打撲などは、運動行為によって生じやすいケガでもあります。施術をするには骨や関節、筋、神経の構造や仕組み、運動力学などを学ぶ運動学の知識も必須です。
柔道整復師として医療行為をするには、外傷の理解に加え、病気の起こる仕組みや専門用語の理解も欠かせません。病理学概論は、病気の起こる仕組みや、体に変化をもたらず病態の理解を深めるための学問です。
衛生学とは、予防医学・疫学・食品衛生、中毒・地球環境・医学統計などからなる学問です。また、公衆衛生学とは、保健学・環境保健学・保健栄養学・衛生技術学、臨床検査技術学などを学びます。医学や社会学的領域から個人や団体の健康維持、疾病予防などについて理解を深めます。
人体に生じる内科的疾患について学ぶもので、病態や発生原因などの病態生理を理解するための学問です。生理学や病理学に通じるもので、医療系の資格取得において必要な科目です。
柔道整復師が外傷に対する施術を行う際に欠かせない、外科学的知識・思考法について学びます。
骨・軟骨・筋肉・靱帯と神経組織などを対象に外傷、スポーツ障害、腫瘍、加齢に伴う変性疾患などの施術を行う際に必要な学問です。
身体的側面に生じた障害の回復への治療法を学びます。障害を最小限に抑えるための予防医学で、治療だけでなく、スポーツ分野でのケアにおいても求められる専門知識を取得します。
柔道整復理論とは、上記の専門知識を踏まえ、柔道整復師になるための総合的な知識を得るための学問です。柔道整復術の歴史や施術について学びます。
医療行為を行ううえで、柔道整復師として理解しておくべき関係法規を学びます。
柔道整復師になるためには、専門学校や大学・養成施設で専門的な知識や技術を3年間学ぶ必要があります。この3年の間にしっかりと授業を受けることがもっとも合格に近い道といえるでしょう。加えて、自宅での学習も欠かせません。国家試験合格に向けて、具体的な勉強方法をお伝えします。
柔道整復師の試験は教科書から出題される傾向が強いため、授業に集中してしっかり学ぶのはもちろん、学校外では授業で習ったことの復習を徹底的に行うのが効果的です。日本健康医療専門学校では、小テストを頻繁に行います。復習をしたうえでテストに臨めば、記憶の定着につながるという卒業生の声もあります。
卒業生レポート 辻雄次郎さん(柔道整復学科2006年・鍼灸学科2012年卒業)|日本健康医療専門学校
過去問題集を何年分も解くのは手間がかかるものですが、着実に力を付けられる勉強法のひとつです。ポイントは間違えた部分の反復で、解けた問題よりも解けなかった問題に時間をかけることが大切です。何度も繰り返し解くことで、理解が深まり得点アップが見込めるでしょう。
ただし、解けない部分に固執しすぎると、かえって時間の浪費につながってしまう場合もあります。わからないときは養成校の先生に質問して、早期の習得を目指しましょう。効果的な学習ができるように、多くの問題に取り組みながら総合点を上げて、合格基準到達を狙うとよいでしょう。
養成校での座学による知識の修得も重要ですが、自分の目で現場を見ることも大きな学びとなります。勉強をしながら働くのは大変なことですが、可能であれば養成校に通いながら、治療院や整骨院でアルバイトをして、現場で勉強するのもよいでしょう。
日本健康医療専門学校の卒業生には、在学中に治療院や整骨院で働きながら多くのことを学んでいた人もいます。
卒業生レポート河内潤一さん(柔道整復学科2006年卒業、鍼灸学科2007年卒業)|日本健康医療専門学校
勉強は計画性を持って進めていかないと、なかなか成果を得られません。試験当日から逆算し、どの時期までに、どの程度のレベルで知識を深める必要があるのかを考えてみましょう。計画的に行動できるよう、スケジュール表を作成するといった、計画の見える化も大切です。計画通りに進めば、ギリギリになって慌てて、徹夜を続けて体調を崩すといった事態も回避できます。そもそも睡眠不足の状態で勉強をしていては、身につくものも身につきません。健康に留意しながら、計画的に勉強を進めることで着実に合格に向けた取り組みができ、自信にもつながります。
柔道整復師として活躍したいなら、国家試験に合格することが必須です。そのためには、「学校での勉強を怠らないこと」「復習を中心に反復学習を計画的に続けること」の2点が特に大切です。先にもお伝えしたように、柔道整復師の試験は教科書からの出題が多い傾向にあるため、教科書の反復や過去問題集を繰り返し解いていきましょう。また、治療院や整骨院でのアルバイトで実地経験を積むのもよいでしょう。計画を立ててひとつずつしっかり取り組めば、合格への道が開きます。
日本健康医療専門学校は、柔道整復師になるための資格取得を目指せる医療系専門学校です。就職後もすぐ活躍できるような授業カリキュラムや、卒業後の進路や就職についてのサポート体制も整っています。どんな学校なのか気になったら、オープンキャンパスにご参加ください。
―学科・コースの詳細についてはこちらから
柔道整復学科