卒業生インタビュー
稲毛作草部整骨院の院長を務める山下裕馬さんは、日本健康医療専門学校(以下、ニッケン)卒業後の約11年のキャリアを活かし、他店舗の管理や採用の担当も兼務しています。
患者さまのことはもちろん、自らのビジョン、そして後に続く後輩たちや業界の未来まで。
「思いさえあれば可能性は無限大」だと語る山下さんに、お話を伺いました。
Q:いつ頃から「柔道整復師」になろうと思ったのですか?
幼少の頃から野球とテニス、格闘技をやっていて、スポーツと共に歩んできたような少年時代でした。そのため人体に興味を持つようになったのは、ごく自然な流れでしたね。高校3年生で進路を決める時期には、これから先はプレイヤーとしてスポーツに携わるというよりも、身体の不調を治すなど、サポートする側としてキャリアを積んでいこうと心に決めていました。
トレーナーとして競技者をサポートしていく方向と、整骨院などで日常生活において身体の悩みを抱える方を治療していく方向と2つの選択肢があるなかで、私は後者を選びました。その理由は、私自身がよく競技中にケガをしていて、柔道整復師の方のお世話になることが多かったからです。その姿を見ながら、自分のなかで仕事としてのイメージが築かれていました。もともと私の家は、父はバスケット、母と姉はソフトボールと、まさにスポーツ一家!スポーツに打ち込む私をサポートし続けてくれた両親は、進路を決めたときにも私の選択を応援し、背中を押してくれました。
Q:高校時代の山下さん。どうして進学先にニッケンを選んだのでしょう?
柔道整復師の国家資格を取ろうと決めてから、いくつか専門学校のオープンキャンパスに足を運びました。もともと事前情報として、ニッケンは長きにわたり資格取得の合格率が高いと聞いていたので、候補ではありました。実際に先生方とお話させていただいたのですが、いろいろと個人的に突っ込んだ質問をしても、どの先生も嫌な顔ひとつされず熱心に話をしてくださったことが印象的でしたね。あと、授業見学もしたのですが、学生が楽しそうに勉強していて、学校全体の雰囲気がすごく良かったんです。実は他校でも授業見学をしたのですが、他校の学生は受け身な印象だったのに比べ、ニッケンの学生は能動的というか、自分から進んでイキイキと学んでいる印象を受けました。ニッケンの学生の質、そして学校が提供している学びやサービスの質がいいのかな、と。そういったさまざまな要素から判断して、ニッケンを選択しました。
Q:学校は思い描いた通りでしたか?ギャップはありませんでしたか?
ギャップなんて、まったくありません!学校は、オープンキャンパスで受けた印象そのままでした。先生方は、授業以外の場でも学生一人ひとりと向き合い相談に乗ってくださいましたし、ゼミも充実していて「学びたいことが全部やれる!」と、毎日逸るような気持ちでした。メインである柔道整復師としての勉強以外でも、さまざまな知識を幅広く得られるというところがすごくよかったですね。特に、スポーツ外傷やテーピングなど、スポーツトレーナーの技術や知識は、仕事のなかでも多いに役立っています。患者さまのなかにはスポーツをされている方も多いですからね。
学校生活の思い出のなかにはネガティブなことはまったくなくて、自分がやりたかった、知りたかったことを学ぶ場なので授業は楽しく、この学びが将来自分のキャリアに活かせると思うと、ただただ嬉しかったと記憶しています。プライベートでは、キックボクシングをしたり、バイトとして父の仕事を手伝ったりなどしていました。ですが基本的には資格取得を目指して、勉強に打ち込んだ3年間でした。
Q:学生時代。受験勉強をするなかで苦労したことは?
学ぶこと自体は楽しいのですが、学びたくて学ぶ勉強と受験のための勉強とでは、質が違いますよね。膨大な量の知識を頭に叩き込まないと国家試験は受けられないので、そこは大変でした。柔道整復師になるにあたって、臨床技術など直接的な学びはイメージできているし興味も高いのでまったく苦ではないのですが、受験のために覚えなければいけない作業、例えば基礎医学など記憶することがメインとなる勉強は、これがどう役立つかが自分のなかでイメージできていなかったところがあり、ちょっと苦労しましたね。
ですが、卒業後に実際に現場に出てみると、当時はイメージできていなかったことでも、覚えた知識は全部活きると実感することばかりなんです。筋肉、骨、脳、神経、血管についてなど挙げればキリがないのですが、必ず必要となる知識なので、皆さん、そこはしっかり学んでおいたほうがいいですよ!
また私の場合は、仲間との助け合いが大きな力となりました。試験勉強はほとんど友達とやっていましたね。問題を出し合ったり、わからないところをシェアして教えあったり。人とシェアすることで自分ひとりでは得られない多くの気付きがあり、深く理解できるなど学びに奥行きがでました。
Q:ニッケンを卒業し、就職して今の整骨院に至るまでの経緯を教えてください。
卒業後、最初に入社した会社は、教育体制が整っており、短期間で幅広く学べるというところに惹かれて入社しました。臨床における知識や技術、そして院の運営に至るまで、いろんなことを少しでも早く吸収したくて。そこに約8年勤め、管理職でもある院長の地位にまでなりました。
当初の目標をある程度達成できたとき、自分はこれから何をどうやっていきたいか、世の中にどう役立てるのかと、先のことについて考えるようになりました。例えば独立する道もあったでしょう。そんな時に、現職であるトップソルブ株式会社の渡邊代表と知り合ったんです。いろいろと話を伺い、代表が思い描くビジョンに共感して、自分もその力になりたいと思い転職を決めました。当時は創業したばかりで、まだ従業員も2人くらい。ここなら自分の可能性を広げられる、代表とともに会社を創り上げていくぞ!と、ワクワクしましたね。現在、転職して4年目になるところです。
当社は「5WIN」を掲げています。それは、「社員・家族・お客様・会社・社会」とご縁のあるすべての方が共に幸せであることを目指そうという理念です。患者さまが第一ではあるのですが、そもそも我々治療する側が不満を抱え疲弊していたのでは、良いサービスを提供することはできませんよね。だからまずは従業員が働きやすく、成長できる環境が整っていることが大事。多くの方に満足いただければ、やがて社会がよくなり会社もより成長するでしょう。私が最も共感した部分であり、自分の可能性を賭けたいと思った核心的な部分です。
Q:実際に転職されて。現在の会社での働き甲斐はいかがですか?
前職では管理職として任される範囲が広い分、十分に自分の目が行き届かない先生もいたことが課題でした。今は当時の経験を活かし、どうすれば細やかな対応ができるかを自身に課しています。
最近では、採用も担当するようになりました。現場のことはもう十分わかっているつもりですが、採用は伝える技術といいますか、患者さまに向かうのとはまた別の対応になるので、今はその難しさを痛感しています。学生やこれからこの業界を担う先生たちに対して、この業界の魅力ややりがいをどう伝えていくかが課題ですね。
学生採用では、今まで資格取得の勉強をしてきた子たちなので知識や技術はスタートラインであることは前提として、何よりも素直さを重視しています。教えたことを素直に受け止め、吸収し、実践しようという人と働きたいですからね。まだ先のビジョンなんてなくてもいい。自分は何のためにこの仕事をやるのかという、根本的な軸があるかどうかだと思います。残念ながら、なかにはなんとなく資格を取得したのか、「人に喜んでもらいたい」といった思いすら感じられない人もいます。正直、そういった方はこの業界に入っても続かないでしょう。採用に関わらず、私は業界の先輩として、同じモチベーションで「一緒に成長していきたい!」と思える人と働きたいですね。今はその責任感とともに、出会える喜びを感じています。
Q:この仕事のやりがい、逆に辛さを感じることはありますか?
やりがいは同業種の方は皆さん同じだと思いますが、自分の技術や知識が届き、喜んでいただけた時に得られる充実感ですね。直接感謝の言葉をもらえることも大きいです。他業種ではなかなか味わえない感動でしょう。あと親も腰痛持ちなので、身近な人に喜ばれることかな(笑)
さまざまな症状を抱えた患者さまとお会いしますので、なかにはどうしても難しい症状とか、自分の今の技量では改善に導きにくいといったこともあります。自分の力不足を感じて落ち込むことはありますが、そんな時には、私の場合は現代表ですが、周りにいる尊敬すべき先輩をモデルとして向上を目指すのみです。
Q:患者さまとの素敵なエピソードを聞かせてください。
当院を利用される方の年齢は幅広く、中高生から80歳くらいの方までおられます。
ある患者さまには、「もう1度ゴルフをやりたい」という夢がありました。施術を重ね、その夢を叶えられた時は本当に嬉しかったですね。柔道整復師として、一人ひとりとゴールを共有しながら一緒に改善を目指していくのですが、「やりたかったことができるようになった」というお声は何ものにも代えがたい喜びです。
また、中高生など若い方のほとんどは運動部に所属している子たちですが、ケガを抱えていても「それでも部活を続けたい」「大事な試合には出たい」という子がほとんどです。私自身が少年時代にそうだったので、気持ちがすごくわかる。だから「じゃあ次の試合に出られることを目標に、一緒にがんばろう」と熱が入り、そして無事出場できて「ありがとう」と言われたときは、自分のことのように嬉しかったです。
Q:山下さんの夢や、今後取り組もうとしている課題は何ですか?
当社が患者さまや社会に提供できることとして、今後も整骨院という枠に捕らわれずに分野を広げていきたいという、ビジョンがあります。例えばトレーナー、外傷ケア、美容でもいいでしょう。それらを組み合わせて新ジャンルを開拓するなど、可能性は無限大です。ポジションにしても、ずっと治療に関わるもよし、新分野の経営を担うもよし、教育の側になるもよしと、さまざまな選択肢があります。柔道整復師だから、鍼灸師だからこうであるという定義はなく、こんなことがやりたいと思った時に、そのポストが用意されている会社にしていきたいですね。何より自分自身が、いろんな可能性に挑戦していきたい気持ちでいますから。
当社では、トップダウンではなく現場から声を上げる体制で、個々人がやりたいことを実現できる環境が整っています。例えば、新たな施術技術・知識を学ぶ勉強会の実施、美容分野の最新マシン導入など、その内容は多彩。そこから実際に院でメニュー化されたものも数多くあります。トップソルブでは"やりたい"が原動力。挑戦することで自分が成長し、会社も業界全体も発展し、何より患者さまに貢献できる。まさに理念でもある5WINの実現ですが、私自身、実現に向け関わっていきたいですね。
今後の課題として注目しているのは、予防治療。これはケガする前に、そもそもケガをしないよう身体の使い方を改善しましょう、というものです。高齢になったときに要介護状態になるリスクとして運動器の機能低下があげられますが、今後はそうならないための予防治療がますます重要になってきます。痛くなってからでは治療は長引くし、医療費が上がるなか費用も大変ですよね。人は痛くなってみないと危機感を持ちにくいものですが、早め早めの段階で何ができるか、将来のイメージを持つ重要性を伝えてしていくことが課題だと思っています。
Q:山下さんが思う、業界全体の課題について教えてください。
これから先は高齢化が進み、この業界の需要はますます高まっていくでしょう。
ですが、残念ながら整骨院の認知度はまだまだ低く、身体の悩みを抱えているのに「どこに相談したらいいかわからない」という方が多いのが実状です。そういう方に、我々ができることを広く知ってほしいですね。当社としてもそうですが、業界全体として、患者さまや社会のためにより良くなってほしいという思いがあります。例えば整形外科やお医者さんとの関係を構築し、連携を取り合っていくのもいいでしょう。社会全体で、悩んでいる方をサポートできる未来を実現させたいです。
それから、学生など若い方とお話をすると、多くの方がライフワークバランスを重視していると感じます。学生からは8割くらいの方に質問されますね。休日、産休・育休がとれ復帰できる環境かなど、働き方に柔軟性が求められる時代。もちろん当社ではそこを最重要視していますが、業界的にも、もっともっと変わっていくべき時かもしれません。
Q:これからの業界を担うであろう、後輩たちへのメッセージをお願いします!
~柔道整復師への道を考えている高校生の方へ~
ニッケンの魅力は、先生方が親身になってくださること。人間ですから、学生はみな性格も違うし、学力などに差があるのは当然ですよね。でもニッケンの先生は、勉強の進め方から進路のことまで、個々人に寄り添ってサポートしてくれるので安心ですよ。それから、関連分野が学べるゼミやセミナーが充実しているのも特徴。学んで損になることはひとつもありませんから、メリットでしかない!そのような環境が整い、自然とやる気を引き出してくれるのがニッケンの強みです。私もそうだったように、ぜひオープンキャンパスなどで見学し、自分の目で確かめてほしいですね。その意味を実感できることでしょう。
~ニッケンで学ぶ、後輩学生たちへ~
整骨院でアルバイトをするなど、学校の勉強と並行して臨床経験を積んでいる方も多いと思います。私はそれを行わず、試験勉強だけに専念していました。そこで思う、皆さんへのアドバイスとしては「現場を知っておいたほうがいい」です。今振り返ると、知って学ぶのとそうでないのとでは理解の質が違う。私の場合は、イメージが掴めないため勉強の効率が悪かったり、社会に出たときに戸惑ったり、ということがありました。アルバイトまではしなくても、先生に相談すれば院の見学を勧めてくださるなどアドバイスしてもらえると思います。自分の目で見ることでイメージが固まることもあるので、ぜひ学校と先生をフルに活用してください!
先ほど、「どんどん分野を広げていきたい、可能性に挑戦していきたい」といった私の夢を語りましたが、柔道整復師の資格を取ったら"仕事はこれ"と限定されることは、絶対にありません。活かせる職域は広く、活躍の場は今後ますます拡大していくはずです。私も、そのために頑張っていますから。「なんのためにやるのか」「誰かのためになりたい」というマインドの部分だけはしっかりと持ち続け、自分がやりたいことをイメージしながら、諦めず突き進んでほしい。この業界は、まだ開拓できていない分野がたくさんあります。仮に今の時点で明確にイメージできていなくても、働きながら見えてくることもあれば、まったく新たな分野を自分で切り拓くことだって可能です。大事なのは、自分の思いです。
<卒業生プロフィール>
山下 裕馬(やました ゆうま)さん/トップソルブ株式会社 稲毛作草部整骨院 院長
日本健康医療専門学校 柔道整復学科 2012年卒業
【国家資格】 柔道整復師