スポーツトレーナーについて知る
最近ではスポーツトレーナーを目指す女性が増えているようです。女性専用のスポーツジムも増加していることから、ニーズとしても今後も増加傾向が予想されます。今回は、女性がスポーツトレーナーとして働くメリットとデメリット、将来性や活躍できる人の特徴などについてお伝えします。
ひと口にスポーツトレーナーといってもその仕事内容はさまざまです。具体的にはトレーニングメニューの検討、トレーニング方法の指導から、競技中のけが予防・応急処置、リハビリテーションのサポートなど非常に多岐にわたっています。そのため、スポーツ自体の知識はもちろん、けがの応急処置やリハビリなどメディカル面に関する知識も必要な仕事です。
また、就業場所もスポーツジム、フィットネスジム、スポーツチーム、スポーツトレーナーの派遣会社・学校など幅広く、さらに就業形態も会社、ジムなどに所属する場合と、個人としてプロスポーツ選手と契約を結び、一対一でサポートを行う場合があります。
→スポーツトレーナーの仕事内容の詳細については以下の記事もご覧ください。
さまざまな場所で働けるスポーツトレーナーですが、最近では女性スポーツトレーナーのニーズが高まっています。その理由のひとつとして考えられるのがフィットネスクラブの隆盛です。
フィットネス業界の経営情報誌『フィットネスビジネス』を発行している、フィットビジネス編集部が公表した「民間フィットネスクラブ産業市場データ(2018年度版)」によると、日本でのフィットネスクラブの軒数は、4,163軒(2013年)から5,818軒(2018年)と約1.4倍に増加。会員数も416万人(2013年)から514万人(2018年)と約1.2倍に増加しています。
フィットネスクラブの増加は、そのままスポーツトレーナーの就業場所の増加につながりますが、これに加えてここ数年、女性専用のスポーツジムや女性専用小規模サーキットジムなどが増加しつつあることにより、スポーツトレーナーのなかでも女性スポーツトレーナーのニーズが急増しています。
女性の健康や体力維持への関心が高まるなか、女性のスポーツトレーナーの必要性も高まっています。では、スポーツトレーナーになるためにはどういった資格が必要なのでしょうか。取得しておくと役に立つ資格についてもあわせて説明します。
そもそも、スポーツトレーナーになるために必要な国家資格や免許はありません。ただし、スポーツトレーナーは専門的な知識が必要になるため、スポーツジムやフィットネスジム、会社、学校などに就職する際、資格を持っていることで採用される可能性は広がります。もちろん、過去にスポーツ選手として実績を認められた実力があれば、資格がなくても契約したいという団体はあるかもしれません。言い換えれば、スポーツトレーナーに期待されている能力というのは、経験や専門的な知識に基づいた的確な指導力と言えるからです。そのため、基礎的なスキルや専門知識の裏付けにもなる資格を取得しておくと、就職は有利になります。
国家資格ではありませんが、次のような民間団体による資格はスポーツトレーナーをやるうえで非常に役に立ちます。
・NSCA認定パーソナルトレーナー
・日本スポーツ協会・公認アスレティックトレーナー
・認定アスレティックトレーナー(JATAC-ATC)
・NATA認定アスレティックトレーナー
次に選手の体調維持管理、リハビリを行うために取得しておくとよい資格を紹介しましょう。スポーツトレーナーとして的確なアドバイスや体調管理などを担当するためには、リハビリテーションに関する知識、医学的な知識、気持ちを支えるための心理学的な知識など、多様な専門知識が必要になります。これらの知識を、保有資格で示すことにもなりますので、頼られるスポーツトレーナーとなるためにも、資格取得に挑戦しましょう。
・柔道整復師
・鍼灸師(はり師・きゅう師)
・あん摩マッサージ指圧師
・理学療法士
・栄養士
・心理カウンセラー
→スポーツトレーナーの資格についての詳細、取得方法は以下の記事をご覧ください。
女性が将来的にキャリアアップを望むのであれば、結婚、出産後でも継続して働いていけるかどうかはひとつの課題でもあります。もちろん、プロや実業団のスポーツチームの遠征に同行して各地を回るような仕事は一時的に継続が難しくなることもあるでしょう。そのため、職場や働き方を選ぶときには、復帰することが可能であるのかどうかも踏まえ、キャリアアップを見据えておくことが重要です。ここまでに説明したようにスポーツトレーナーの就業場所、形態はひとつではありません。
例えば、個人と契約しパーソナルトレーナーとして働くケースもあれば、スポーツジムやフィットネスジムのなかでも転勤のないところを選んで就職をするケースもあります。こうしたケースでの働き方であれば、結婚、出産後も継続的に働くことが可能です。このような就職先はさまざまにあります。
さらに、子育てがひと段落すれば、プロスポーツチームや実業団のスポーツチームの遠征に同行して各地を回るような仕事も可能になるでしょう。以前に比べ女性のプロスポーツ選手が増加していることもあり、需要は決して少なくありません。年齢を重ねればそれだけ経験、知識も増していきますので、自身の身体に問題がなければ長く続けていける仕事だと言えます。
また最近では、感染症拡大や自然災害などの影響により、自宅からオンラインでパーソナルトレーニングを開催しているトレーナーも増えてきています。小さな子どもがいても自宅で開催できるので、これからの時代に合った働き方といえるでしょう。
現実的にはまだまだ男性が主流であるスポーツトレーナーですが、女性スポーツトレーナーの数が増加していることも確かです。そこで、女性が職業としてスポーツトレーナーを選択する3つのメリットを紹介します。
現在、女性専用のフィットネスジムが増加しています。背景には、男性のトレーナーの目を気にせずフィットネスに集中したい、マイペースにトレーニングしたいとの女性客の要望があるようです。
女性トレーナーであれば、男性のトレーナーよりも具体的な体調に関する悩みごとを相談しやすいと感じている女性客や、ノーメイクでも気にする必要がないのでジムに通いやすいと感じる女性客がいるようです。また、ダイエット食やウエアなどについても気軽に話せるといったように、同性だから安心して相談できる存在であるということが女性のスポーツトレーナーの高いニーズを支えています。
女性は一般のスポーツジムと女性専用のスポーツジムやフィットネスジムのどちらでも働けますが、男性は女性専用のジムでは働けません。また、女性のプロ、実業団チームで働くスポーツトレーナーを女性が担当することもあります。そういった意味では、男性が多い職場とはいえ、女性の働ける場所も多くなりつつあります。働く場所が多くなり、働き方にも可能性が広がるという点では、これも大きなメリットと言えるでしょう。
スポーツトレーナーは国家資格ではないものの、さまざまな知識、経験を必要とする仕事です。また、技術や知識さえあれば、フリーランスになることもできるので、自由度の高い仕事が続けられます。さらに出産を経験することで、顧客が出産後の体型維持や体力回復などを目的にスポーツを始めた場合、体験的に深く理解し、的確なアドバイスができる可能性も高くなります。子育て中の健康と体のケアについても、栄養バランスのとれた食事や体調管理、精神面でのアドバイスなど、より具体的に相談に乗ることができるようにもなるでしょう。つまり、女性のスポーツトレーナーにとって、出産や子育てもキャリアアップするための大切な経験になる、と言えるのです。
スポーツトレーナーはさまざまな経験、知識を必要としますが、それさえあれば顧客から頼りにされるスポーツトレーナーになれるわけではありません。もちろん、女性がスポーツトレーナーになろうと思う場合も同様です。経験や知識は欠かせない要素ですが、それに加え意欲があるかどうかが重要です。ここでは男女問わずスポーツトレーナーに向いている人の特徴を紹介し、特に女性でスポーツトレーナーに向いている人の特徴を解説しておきましょう。
これまで説明してきたように経験、知識を必要とするスポーツトレーナーは、短期間ではなく、継続して働きたいと思っている人にとって向いている仕事です。もちろん自分自身の体力も必要ですが、経験値を上げることはそれ以上に重要だとも言えます。言い換えれば、若いころの短期間だけスポーツトレーナーとして仕事をすることを目指す人よりも、将来的に自分が経験したこと、学び続けた専門知識を生かしながら仕事を続けたいと考える人に向いています。この特徴は特に女性がスポーツトレーナーになろうと考えるときは重要です。
女性は男性に比べ、結婚や出産を経験することでそれまでの仕事を継続しにくくなるケースが少なくありません。とくに出産後、元の仕事に同じように復帰できるかどうかは、本人の気持ちだけでなく、家族の理解と環境がなければ難しくなるケースがあります。そうした現実を理解したうえで、それでも出産もスポーツトレーナーとしての経験になると考え、前向きに取り組みたいという意思が強い女性は、スポーツトレーナーに向いているといえるでしょう。
スポーツトレーナーといえば男性がなるものといったイメージはすでに過去のものです。
最近では、女性専用ジムの増加にしたがい、女性スポーツトレーナーのニーズも高まっています。
ただし、男性女性にかかわらず、長く活躍するには、顧客に求められるスポーツトレーナーでなければなりません。スポーツに対する知識、けがに対する知識、そして顧客の心のケア。どれも一流スポーツトレーナーとなるには欠かすことのできない要素です。
これからスポーツトレーナーを目指すのであれば、顧客に頼りにされる存在を目指して、まずはしっかりと勉強し、さまざまな知識を得ることから始めましょう。