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柔道整復師について知る

国家資格がなくても働ける整体師。成功するためにやるべきこととは

高齢者の増加にともない、身体の調整を行う専門家の需要は高まる方向にあります。厚生労働省公表の「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)」によると、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師をはじめとした国家資格者の就業数は増えています。一方、整体師という職業は国家資格を必要とせず、身体のこりをほぐしたり、不調な部分のケアができたりするので、めざす人も多いようです。しかし、めざす人が多いということは、競争相手も多い可能性があることになります。また、仕事内容が似ている国家資格者との競争に、打ち勝つ努力が求められることも意識しなければなりません。今回は、整体師になる方法を紹介しながら、ほかの職種と差別化をして、就職や開業でチャンスを得る方法について考えてみます。

整体師の人気が高まる背景

整体師の需要の現状と背景について見てみましょう。

整体の重要性の認識が高まる

整体によって筋肉のこりをほぐし、身体のゆがみを矯正するなどして、体調を良い状態に保つという考え方が、幅広い年代層に広く根づいてきました。肩や腰などのこりの解消といった身体的不調のケアのみならず、リラクゼーションを目的として、精神的なケアのために定期的に通う人も多いようです。整体院の看板を掲げる施設が増え、平日の夜や休日に施術が受けられる施設もあるため、比較的利用しやすいことも、利用者が増加した背景にあります。

高齢化社会で、整体の活躍機会が上昇

日本の社会は、高齢者人口が増える高齢化社会といわれてきました。高齢になると、若いころから健康に気をつけていても、年齢とともに足腰のおとろえや、腕が上がりにくいといった症状が出ます。病気ではないけれど、身体の調整やケアが必要だと感じる人が増えることになるのです。高齢化社会が進むにつれ、整体師の需要は今後いっそう高まることが考えられます。

活躍の場も広がる

整体師の活躍の場は広がっています。整体院のほか、骨折や捻挫(ねんざ)など骨と筋肉に関する治療を行う整骨院、スポーツジム、介護・福祉施設などさまざまです。もちろん、整体師として就職し勤務する以外にも、みずから整体院を開業することもできます。

整体師ができること

整骨院は、柔道整復師が骨折の治療やリハビリテーションにたずさわっている施設です。柔道整復師と整体師は、施術内容は似ていますが、国家資格のある柔道整復師とは施術範囲が異なります。スポーツジムでは、関連協会が認定したトレーナー資格を持つ人が、一般利用者やスポーツ選手を指導しています。介護・福祉施設では、国家資格を持つ理学療法士や柔道整復師などと一緒に働くことになる可能性もあります。国家資格者と同じ施設で働く場合は、持つ資格や規定により、施術範囲が異なります。整体師ができる施術内容とできないものを以下にまとめます。

  • 整体師ができる施術範囲:手技として指先や手のひら、肘(ひじ)や膝(ひざ)などを使い、こりのほぐし、血行不良個所の改善、筋肉や関節の動きの悪い部分を調整するための施術を行う。厚生労働省の認識として国家資格のある者以外が行う施術において、あん摩マッサージ指圧に該当するか否かの認識を示したものによると、専門の国家資格を有さない者が施術する場合は「施術者の体重をかけて施術する場合、患者さんが痛みを感じない程度の施術。人体に危害をおよぼすおそれのある行為は行う事が許されない」と判断されています。
  • 整体師ができない施術内容:はりときゅうを使った鍼灸(しんきゅう)の施術、電気的な刺激を送る器具を使う理学療法、骨折や脱臼などの治療やリハビリテーションのほか、指で患部に施術者の体重をかけて行う指圧や、保険適用の対象となる医療行為に準じたマッサージなど。

例えば、整骨院で働き、骨折や打撲などの治療やリハビリテーションを行うには、柔道整復師という国家資格が必要です。身体のケアや調整の範囲を超えて、治療の分野に該当するからです。そのような医療行為を行える人を、国は一定の要件や技術のレベル、習得するべき知識などを定めて資格化し、明瞭に区分しており、国家資格がなければ施術はできません。ほかにも、理学療法機器やはり、きゅうによる治療、指圧師が行うような施術方法も、国家資格が必要です。

整体師になるには

整体師になるには、どのような方法があるのでしょうか。

国家資格がいらない整体師

前述したように整体師と柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師は、施術内容が似ていることから混同されがちですが、国家資格の有無といった大きな違いがあります。整骨院で骨折の治療やリハビリテーションの施術を行う柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師とは違って、整体師には国家資格が必要とされていません。しかし上述のとおり、行える施術の範囲は国家資格の有無によって大きく異なります。

一般的に、整体師になるには通信教育や専門学校で、身体に関する基本的な知識を学び、主に手や腕、ひざなどを使った施術方法を習得します。その後、整体院や整骨院などで働きながら具体的に技術を学び、経験を積み、さらに高度な技術の獲得をめざして、日々努力する必要があります。国家資格を必要とする職業ではない分、信頼を勝ちとるには人一倍の努力が必要ともいえます。常日ごろから向学心をもち、患者と真摯に向き合う姿勢や態度を維持していれば、整体師として多くの利用者から頼られるような確かな技術の獲得へつながるでしょう。

なお、整体師とよく混同される職業には、カイロプラクティックの技術者もあります。カイロプラクティックは、骨格のゆがみを基本的に手技を使って矯正し、神経の働きを正常なかたちに導くための施術を行います。カイロプラティック技術者も国家資格が必要な職業ではありません。

国家資格や協会が認定する資格を取得していなくても仕事ができる整体師は、資格取得が必須である職業に比べ広き門であることから、多くの人がめざす可能性があると考えられます。一方、国家資格や協会認定資格保持者に比べると、利用客からの信頼を得るためには、実力を認めてもらう必要があるといえます。長きにわたり整体師として働いていくために必要なのは、高い技術力だけではありません。利用者の話に親身になって耳をかたむけ施術を行うといった、顧客満足度を高めるための工夫が必要になるのです。

重要な経験や技の蓄積とプラスの専門領域

整体やカイロプラクティックなど、身体の不調を改善へと導くための施術にたずさわる職業は多数存在します。整体やマッサージを必要としている人は増えており、活躍の場は広がっているとはいえ、整体院や介護・福祉施設への就職をめざす場合、国家資格保持者と競争することになれば、勝ち残るのは難しいのが現実でしょう。多数のなかから選ばれる整体師になるには、整体の知識や技術以外で、複数の専門領域に対応できる知識と技術を習得することが大切です。

整体師としての活躍の場を広げるための方法

前述のとおり、整体師には国家資格が必要とされないため、需要は高い一方で、なり手が多いのも事実です。また、ほかの整体師との差別化をはかるには、高い技術力に加え、整体に関連する専門領域の技術とその資格を取得しておくことも意識しなければなりません。では、どのような資格があるとよいのでしょうか。代表的な例を紹介します。

持っておくべき資格

整体と関連があり、専門家としての証明ともなる以下の国家資格の取得がおすすめです。

  • 柔道整復師:骨折や脱臼の治療のほか、五十肩やリウマチ、事故によるケガの後遺症の治療などにもあたる。骨折では添え木やギプスを使った治療となるため、国家資格が必要。(柔道整復師の資格について詳しくはこちらをご覧ください
  • あん摩マッサージ指圧師:手や指などを使い、「押す」や「さする」「もむ」などの手技で、身体の不調箇所の回復を目的として施術を行う。医師や看護婦と同じように人体を扱う職業となるため、国家資格が必要。整体師と施術内容は似ており、混同されやすい職業であるが、あん摩マッサージ指圧師は、ケガからの回復など、より必要度が高い利用者が多いことが想定できる。
  • 鍼灸師(はり師・きゅう師):はりときゅうを使った施術であり、東洋医学にもとづいた古くからの治療行為のひとつ。一流のスポーツ選手のスポーツ障害の治療で鍼灸が注目されるなど、近年、活躍の機会を増やしている。人体に関する重要な扱いをすることになるので、はりときゅうでそれぞれの国家資格が必要。(鍼灸師の資格について詳しくはこちらをご覧ください

整体師として働きながら国家資格取得をめざそう

整体師という職業は資格が不要である反面、体得すべき技術はかなり奥深く、日々、新しい経験を積んでいくことが大切です。将来の方向性として、整体師として学び働きながら、ほかの分野の資格を取得することも考えられます。柔道整復師や鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師のような国家資格の取得は、整体師としての大きな可能性を広げることにもつながります。利用者への対応範囲が幅広くなることに加え、将来、独立開業できるチャンスが増えることになるのです。漠然と整体師になりたいと考えているなら、将来的な計画を立て、めざせる資格や働き方の可能性を探ってみましょう。