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専門学校からの就職は大学に比べて有利?専門学校から就職するメリット・デメリットを解説

高校卒業後の進路として、就職以外では一般的に「大学・短期大学(以降、短大)」、「専門学校」のいずれかを考えるのではないでしょうか。どんな進学先を選ぶ場合も、最終的には就職を見据えて考えることが多いでしょう。では、どの進学先を選ぶと就職に有利なのでしょうか? 今回は、大学・短大と、専門学校それぞれの就職率を確認しながら、専門学校に進学するメリット・デメリットや、専門学校からの就職が有利な職種についてお伝えします。

高校卒業後の進路で多いのは?

文部科学省が発表した「学校基本調査(2020年度)」によると、高校卒業者の進路で最も多いのは大学(短大含む)58.6%で、専門学校進学率は24%です。高校卒業後に就職する人の割合は、文部科学省の別の調査によると、2020年3月現在で17.2%となっています。

高校卒業後に就職を選択する人は、工業系、商業系、農業系など専門分野の高校出身者が多いようです。

大学・専門学校、それぞれを卒業した後の就職率は?

続いて、大学、専門学校を卒業した後の就職率を見てみましょう。一般的に専門学校は就職に強いイメージがありますが、実際には大学と専門学校の就職率にそれほど大きな差はありません。

厚生労働省が2020年6月に発表した「2020年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)」によると、大学卒業者の就職率は98%、短大卒業者の就職率は97%でした。また、専門学校卒業者の就職率は96.8%となっています。

大学卒業者は大学院や修士課程に進む人もいるため、専門学校と比べて、就職希望率は低い傾向にあります。それでも就職を希望した場合には、大学卒業者も専門学校卒業者とほぼ同じ水準の就職率になることがわかります。ただし、これは、「職種を問わず就職先が決まった結果」です。必ずしも、学校で習得したスキルを生かせる就職先に決まったとは限りません。

文部科学省が公表する「データで見る専門学校」の資料によると、専門学校卒業者は、専門学校で学んだ分野に関連した仕事に就く率が75.5%(2017年)ということがわかっています。大学卒業者については同様の資料がなく比較はできません。しかし、専門学校で学べば、将来希望どおりの職業に就職できる可能性が高いことがわかるでしょう。

専門学校が就職に強いイメージがある理由

一般的に、専門学校に進学すると「就職に有利」というイメージがあります。その理由のひとつに、上述したように「希望する職種に就ける可能性が高い」点が挙げられます。

業種を問わず就職することだけを考えれば、就職はそれほど難しいことではありません。少子高齢化が進んだ影響もあり、多くの業種で人手不足が続いているからです。選り好みをしなければ、就職先は見つかりやすいといえます。

一方で、就きたい職業がある場合や、夢をかなえたいという目標がある場合は、希望する職種を選んで就職活動をすることになります。このときに専門学校に進学するとメリットがあるのです。専門学校には、学校で学ぶスキルや知識を生かせる就職先の情報が豊富にあります。専門分野に関連する就職先とのつながりを持つ学校も多いです。そのため、学生は希望する分野で手厚い就職支援を受けられます。このような背景が、専門学校は就職に強いというイメージにつながるのでしょう。

専門学校へ進学するメリット・デメリット

専門学校に進学すると、希望の職種に就職しやすい傾向にあることをお伝えしました。改めて、専門学校へ進学するメリットとデメリットを見てみましょう。

専門学校に行くメリット

専門学校への進学で得られるメリットとして、代表的な3つは以下のとおりです。

  • 就職に直結した知識、スキルを得られる
    専門学校では、「テクノロジー」「情報処理」「バイオ」「公務員・ビジネス」「語学・ホテル・観光」「保育」「医療・福祉」「スポーツ」「調理・栄養」「理容・美容」「ファッション・デザイン・アート」「芸能・音楽」など、さまざまな職業に直結した知識、スキルを、2~4年で専門的に学びます。
    大学でも、医療や教育など、専門性が高い分野に特化して学ぶ学科もありますが、より業種を特定して学び、実践に近いスキルを身につけやすいのが専門学校の特徴です。
  • 大学卒よりも早く社会で活躍できる
    専門学校では、最短2年で知識の取得やスキルの獲得を行います。資格取得後には、スキルを生かした就職活動を行って、より早く社会に出て活躍できます。短大に進学する場合も、2年間の勉強後に就職する点では同じです。しかし、専門学校と比べて卒業後の選択肢が少なく、保育や看護といった分野に特定される傾向があります。実践的なスキルを身につけて、好きな職種で活躍したいという人は、専門学校への進学が向いています。
  • 就職に有利な情報を得やすい
    先述のとおり、学科に関連する企業とのつながりを持つ学校が多くあり、手厚い就職支援を受けられます。専門学校は、就職を希望する仕事の情報を得やすい環境にあるのです。例えば、楽器の製作に関するコースを持つ専門学校では、毎年、多くの卒業生が関連するメーカーや工房に就職し、仕事の内容や必要なスキルといった経験談を母校に報告しています。先に就職した先輩からの情報を得られるのも、メリットといえるでしょう。専門学校と就職先との関係性が深まれば、就職活動にも有利に働くことが期待できます。

専門学校で学べる分野については「専門学校の種類は?種類ごとの代表的な分野、求められるスキル・適性を紹介」をご参照ください。

専門学校に行くデメリット

一方で、専門学校へ進学することにはデメリットもあります。

  • 大学卒業が条件の仕事には就けない
    募集条件が大学卒業(以上)となっている職業を目指す場合、専門学校を卒業しただけでは就職できません。専門学校で学び、さらに知識を得たい場合や、大学卒業の条件を獲得したい場合には、卒業後の大学編入を検討しましょう。また、専門学校に通学しながら、通信制の大学と併学する方法もあります。併学は大変ではありますが、やる気さえあれば、スキルアップの近道といえます。途中で進路を変えたくなっても、大学編入を行うといった対処ができるため、それほど大きなデメリットにはならないでしょう。

専門学校が就職時に有利になる職種

専門性が高い職種を目指すとき、必ずしも専門学校が就職に有利とはいえません。例えば、医師や教員など、大学課程を必要とする職種もあります。その一方で、専門学校だからこそ有利に働く職種もあります。ここでは専門学校への進学が就職に有利に働く職種を紹介します。

  • 医療系の仕事
    医療系の職種は幅広く、多くの選択肢があります。医師のように大学への進学が必要な職種もありますが、ほかにも多くの医療系資格があります。職種によっては、専門学校に進学して受験資格を得て、国家試験に合格すれば就職が可能です。例えば、理学療法士や作業療法士、歯科衛生士、臨床検査技師といったコメディカル(医師の指示のもとで業務を行う医療従事者の総称)や、柔道整復師鍼灸師(しんきゅうし)といった治療資格などが挙げられます。
    専門学校では、国家試験対策をしっかり行うところも多く、受験対策を重視したい場合にも有利でしょう。先に紹介した「データで見る専門学校」資料でも、専門学校卒業後に希望した進路と合致したという回答のなかで、もっとも高い専門分野は、医療関係(88.9%)でした。この結果から見ても、医療系の仕事を目指す場合には、専門学校への進学が有効といえるでしょう。
  • 教育・社会福祉
    保育園や幼稚園の先生、また高齢者や介護者のケアを行う介護士、介護職員といった教育・社会福祉関係の仕事を目指す場合にも、専門学校への進学がおすすめです。文部科学省の同上資料でも医療関系と並び、高い割合(86.4%)で希望どおりの進路に就職できています。
  • その他
    製菓・調理師、自動車整備士や、最近ではゲーム制作、CGデザイナー、グラフィックデザイナー、プログラミングなどコンピューター系の職業も、専門学校の卒業生が多く活躍しています。

専門的なスキルや知識を身につけるなら専門学校がおすすめ

前述したように、医療系や教育、社会福祉系などの専門学校への進学が就職に有利になる職種を希望している場合は、専門学校がおすすめです。大卒よりも早く実務経験を積むことができます。自身の就きたい職業を踏まえて、進学先を考えてみましょう。もし通学途中で、進路を変えたくなっても、専門学校卒業後の大学編入は可能です。また、専門学校と通信制の大学を併学する方法もあります。やりたいことを仕事にしたい人や、国家試験の合格を目指してしっかり学びたい人は、専門学校への進学を考えてみてはいかがでしょうか。

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