美容
皆さま、こんにちは!日中美容研究家の濱田文恵です。
今回の東洋美容のヒントでは、自室神経の乱れが招く美容トラブルをご紹介し、そのためにできる自律神経の養生法を伝授したいと思います。
1.自律神経とは?健康と美容に及ぼす影響
自律神経とは、簡単に言うと、私たちが呼吸をしたり、食べたものを消化吸収したりと、身体自らが働くように管理してくれる神経のこと。
自律神経があるからこそ、私たちは起きている間はもちろんのこと寝ている間さえも意識することなく、生理活動を行うことができるのです。
そして、自律神経は役割別に二つに分けられています。
1-1 働き者の交感神経
交感神経は、身体を活動的に働かせてくれる神経です。一般的には、仕事や学校など、活発的に活動する日中の間に優位に働いてくれる神経。
交感神経が優位になると、心拍数が上がりエネルギー消費が積極的に行われ、精神面では緊張感が高まり、日中の活動をしやくなります。
1-2 癒やし者の副交感神経
副交感神経は、就寝時に身体を休ませてくれる神経です。副交感神経が優位になると、心拍数は下がり、エネルギー消費を最小限にし、疲れた身体を回復することができます。
また精神面ではリラックしたり、落ち着いた気持ちに整えてくれたりする働きもあります。
1-3 自律神経が乱れると......。
私たちの身体は前述したように、交感神経と副交感神経が天秤のようにバランスをとって働いてくれています。
しかし、この時期は新年度での疲れや環境の変化によるストレス、身体面・精神面での過労が蓄積しやすくなるので、身体は自らを守ろうとして、交感神経を優位な状態にシフトします。
その結果、血管は収縮し、呼吸は浅くなり、内蔵機能も停滞。身体は常に戦闘態勢のような緊張状態に陥ってしまいます。
この状態が長期化すれば、身体の疲労はいつまで立ってもリセットされず、気づけば自律神経失調症のような病まで引き起こし、健康を損なってしまうのです。
1-4 自律神経の乱れが招く美容トラブル
健康面だけでなく、美容面でも悪影響が。交感神経が優位になれば、就寝時も交感神経が働いてしまい、副交感神経による細胞レベルでの新生や修復ができず、肌のターンオーバーが乱れてしまいます。
ターンオーバーの乱れは未熟な細胞の形成に繋がり、美肌作りの面で言えば水分を抱え込む力のない弱い角質細胞を作ることになります。
ほかにも脳や筋肉などに血液が優先して供給されてしまい、爪や髪などの末端部分に行き届かず、爪は割れやすくなり、髪はパサパサになります。
さらには、胃での消化吸収の働きが減退するので、効果的に消化吸収がされず、体作りをしている方にとっては新しい筋肉は作りにくいのに、余計な脂肪は溜め込みやすくなることも。このように美容面でのトラブルもたくさん招いてしまうのです。
2.自律神経を整えるための養生法
自律神経の一般的な整え方は、規則正しい生活習慣を心掛け、ストレスを溜めないこと。そのためには、決まった時間にベッドに入り、寝る一時間前には交感神経を優位にしてしまうようなブルーライトを発するスマートフォンやテレビはオフにしましょう。またストレスをリセットするのに適度な運動を取り入れることが挙げられます。これらのセルフケアに加え、今回は手軽にできる美養生を伝授しますね。
2-1自律神経の乱れは肝と心にあり
自律神経の乱れは、中医美容で考えた場合、肝と心の働き低下が挙げられます。肝には、"肝主疏泄(かんしゅそせつ)"と言って、全身の気血の流れを調節し、体内の生理活動サポートする働きがあり、心には"心主神志"といって精神活動を行う働きがあります。そのため、肝と心を養生してあげることで、自律神経の乱れを整えることに繋がるのです。
2-2肝の美養生で自律神経を整える
春先からこの時期は、草木花が上に向かって芽吹き成長していくように、自然界では気の上昇が顕著です。
その自然界で生きる私たちの身体もまた同じような特徴が見られ、特に体内の五臓六腑の内、自然界の春と同じような特徴を持つ「肝」が活動的に働いてくれます。しかし、活動的に働いてくれる一方で、ストレスや過労を受けやすく、疲れて不調に陥りやすい時期とも言えます。
肝が不調になれば全身の活動エネルギーとなる「気」や「血」が滞り、体内の生理活動が停滞。
その結果、消化吸収がストップしたり、肩こりや筋肉痛といった身体的不調を感じたり、精神面ではイライラするなど怒りっぽくなります。
またこむら返りのような筋の攣りは、血の滞りが考えられます。
2-2-1肝の養生法
ストレスや過労で肝が不調になると、甘いものであるお菓子を食べたくなる方がいます。これは、中医美容には「肝木剋脾土」という関係性があり、肝が暴走した場合、脾にも被害が出るということです。
脾は甘いもので養生できるので、体が甘いものを欲することで暴飲暴食に繋がるわけですが、脾が一時的に養生されても根本の原因である肝は養生されていません。
結果的に人工甘味料いっぱいのお菓子を暴飲暴食した事実だけが残り、悪循環となってしまいます。そこで、暴飲暴食に気を付けて、まずは滞りがちな気を巡らせるお茶を飲みましょう。例えば、ジャスミン茶や?瑰花茶、ミントティーといった香りでストレスを癒し、滞った気を流すのです。
その他、セロリやパセリ、紫蘇や生姜などの香味野菜を普段の食事に取り入れるのも同じような効果が得られますよ。
2-3心の養生で自律神経を整える
心といえば、生命活動には欠かせない臟でイメージがつくと思いますが、実は精神活動でも大きな働きがあります。この時期の心は肝同様に自然界の影響を受け、体内の気が逆流したり、上昇が激しすぎたりすることで不調に陥ります。心が不調になれば、言葉がうまく発せなかったり、不眠や物忘れを引き起こしたりします。近ごろソワソワしてなんだか落ち着かない方は、心の養生を取り入れましょう。
2-3-1心の養生法
おへそから指4本分下のところに、「丹田」というツボがあります。中医美容では、丹田は心と関係し、気の集まるところとされています。この部分に手を当てながら、腹式呼吸を行いましょう。イメージとしては、4~5秒かけてお腹を膨らませながら息をゆっくりと吸い込んだら、今度は4~5秒かけてお腹を引っ込めながら息をゆっくりと吐いていきます。丹田にある気を体内に巡らせ、深くゆっくりと呼吸を行うことで心の養生に繋がり、亢進した交感神経をリセットします。精神面を落ち着かせ、眠りをサポートする効果も期待できますよ。
その他、簡単に取り入れられる養生法として、トマトやスイカなどの赤い食材で心をサポートし、この時期の肝も同時に養生することができる山菜や苦味のある食材も積極的に摂るといいでしょう。
いかがでしたか?自律神経はわたし達が自分でスイッチをオンオフできないからこそ、日々の生活習慣で整えたり、今回ご紹介した養生法を積極的に取り入れたりして、バランス良く整えていきましょう。
■著者プロフィール
日中美容研究家 濱田文恵
自身のニキビ肌をセルフ美容で克服した経緯を経て"キレイ" は自分でも作れることを啓蒙するため一般社団法人日本セルフ美容協会®を設立。毎日のセルフ美容に自身のルーツである東洋と西洋を組み合わせた独自の美養法を提唱する。著書『運命をこっそり変える』セブン&アイ出版。
国際中医薬膳師 / 医薬品登録販売者 /日本エステティック協会認定エステシャン / 日本毛髪科学協会認定毛髪診断士